微小管が細胞内部の量子効果の足場となっている可能性がある
今回の研究により、細胞に存在する微小管に「意識」の発生するタイムスケールと同じ量子効果が発生することが判明しました。
また「意識」を奪う麻酔薬には、微小管に生じた量子効果と考える現象に大きく影響を与え、変更または抑制することが示されました。
2つの研究において研究者たちはともに、微小管に起こる量子効果が脳細胞における「意識」の形成に重要となる可能性があると結論しています。
ただこれらの実験で「意識」が全て量子効果の産物であり、量子意識仮説の全てが肯定されるわけではありません。
(※量子意識仮説の一種である「Orch OR」説では意識が微小管上に存在する量子ビットによって形成されていると主張しています)
実験によって観測された結果は量子効果の可能性が高いとされたものの、理論的には古典物理の範囲でも起こりえる現象だからです。
研究者たちも最終的な結論に至るには、何らかの方法で生きているヒトの脳において、量子効果が起きているかを確かめる必要があると述べています。
なお今回の研究が「意識」とは関係が無かったとしても、微小管は単に細胞内で物理的な力を担うだけでなく、細胞内で起こる量子効果の足場として機能している可能性は残るため、生物学的に重要な発見であることに間違いはないでしょう。
量子意識がブラックホールの存在のように「常識」となるか「荒唐無稽」で終わるかを判断するためにも、続く研究に着目したいところです。