地球の空の色はレイリー散乱、火星の空の色はミー散乱が支配する
火星探査が進んだことによって、火星の夕焼けの色が明らかになりました。
地球の空の色は主に小さな空気分子が起こす光の散乱(レイリー散乱)によって決まります。
ですが火星の空の色は大きな塵が起こす光の散乱(ミー散乱)が決めていました。
空の色は、雑多な色を含む太陽の光が「何に」「どの順番」で衝突するかによって決められていたのです。
そのため大気が全く存在せず塵も舞わない月では、太陽の光は何とも相互作用しないため、空の色は常に、宇宙の色を透かした黒になります。
一方、分厚い大気によって覆われている金星では、太陽の光は雲に遮られ全く地表に届かないため、地表から見上げた空の色も常に黒となります。
地球や火星の空が特定の色に染まり、時間帯によって色を変えるのは、ほどほどの大気を持っているからだったのです。
記事画像の一部誤りがあったため、修正して再送しております。
3ページ目は、
光には粒子のサイズに近い波長が多く散乱される性質がある。
と言った記述がありますが、この根拠は正しいでしょうか?
光の散乱の現象は、粒子のサイズのほか、その物質の屈折率、吸収率が関係し、単純に粒子サイズだけで散乱光の波長や強さは決まらないと思います。
火星の青い夕焼けの現象には複数の説があり、こちらのサイトで紹介されている説も多く見かける説とは思いますが、記載されている3ページ目の以下の記述には疑問があります。
火星にやってきた可視光は塵に当たって赤色の散乱を起こし、火星の昼間の空は、赤色に染まります(ミー散乱)。
赤い光は塵に当たって早い段階で散乱してしまう一方で、塵に影響を受けにくい青色の光は真っ直ぐ進んで目に届きます。
ミー散乱とは、一般には波長依存性のない散乱ですので、可視光の多様な波長のうち、赤い光を強く散乱するなら、それはとても特殊な状況ではありませんか?その特殊な状況を説明する必要があると思います。
また、青色の光が火星の大気中の塵に影響を受けにくい、とする根拠はあるでしょうか?
たとえ、火星の大気中の塵に青色の光が散乱されにくいとしても、吸収もされずに透過できるのでしょうか?
1ページ目で解説されている図解において、波長の長い赤い光は小さな粒子を回避できて、青い光は回避できずに散乱される関係が示されています。この図を基に考えれば、粒子のサイズが大きくなったら、青い光も赤い光もどちらも粒子を回避できずに散乱すると思います。粒子のサイズが大きくなった場合には、この図で説明される散乱の現象とは別の現象が働くのであれば、それを説明する必要があるのではないでしょうか。
私としては、火星の青い夕焼けの現象が、ナゾのままであっても面白いとは思いますけど、こちらのサイトの解説がAI検索でよく根拠とされるのを見ると、記述の根拠は正確であることが望ましいと思うのです。