「いにしえのパズル」3選
「いにしえのパズル」3選 / Credit:(左)RIJKSMUSEUM, (中)MASK PUZZLE PADLOCKS/COURTESY OF JERRY SLOCUM, (右)Ianmacm(Wikipedia)
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知性への挑戦! 人々を悩ませてきた「いにしえのパズル」3選 (2/3)

2022.05.08 Sunday

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中国の「悪魔のワークボール」

悪魔のワークボール
悪魔のワークボール / Credit: HERITAGE MUSEUM OF ASIAN ART_The Mind-Boggling Artistry of China’s Ivory Puzzle Balls(2022 Atlas Obscura)

18世紀の中国には、「悪魔のワークボール(devil’s work ball)」と呼ばれる彫刻がありました。

材料には象牙が使用されており、独特の色合いと繊細なデザインが特徴的です。

現在では象牙の商業取引が原則禁止となっているため、同様の物が新しく作られることはないでしょう。

さて、悪魔のワークボールは、これ以上分解したり組み立てたりすることができません。

しかし、多くの人はこれを「パズルボール」と呼んできました。

その理由は、その構造と作り方にあります。

18世紀の悪魔のワークボール。内側に8つのボールが含まれている
18世紀の悪魔のワークボール。内側に8つのボールが含まれている / Credit: RIJKSMUSEUM_The Mind-Boggling Artistry of China’s Ivory Puzzle Balls(2022 Atlas Obscura)

悪魔のワークボールは、彫刻の施されたボールの中に、別のボールが入っています

しかも内側のボールの中には、さらに別のボールが入っており、ある作品では合計9層にもなるのだとか。

そしてこのワークボールすべては、1つの象牙の塊を削って作られています。

カプセルのように、半球を接着して内側にボールを閉じ込めるのではなく、9層すべてをただ削るだけで作り上げているのです。

では、どのように9層のボールを彫刻するのでしょうか?

この「彫刻プロセスの謎」こそが彫刻家にとってのパズルであり、現存する悪魔のワークボール自体が「パズルが完成した」ことを証明しています。

全層の穴をそろえる
全層の穴をそろえる / Credit:The Puzzle Museum

専門家によると、パズルボールの彫刻方法は、次の手順で行われるようです。

  1. 象牙の塊をボール状に削る
  2. その後、中心に向かって円錐型の穴を開ける
  3. L字型の特殊な彫刻刀を使い、内側をくりぬくようにして、外層から内側のボールを切り離す
  4. 同様の作業を繰り返し、複数の層をつくる
  5. それぞれの層の表面に彫刻を施す

言うだけなら簡単ですが、実際に作業を行える人はほとんどいないでしょう。

ちなみに、「完成品の穴を全層そろえる」というパズル的な遊び方もできるようです。

とはいえ作品自体が非常にもろいため、この方法で遊ぶ人はいません。

彫刻家が完成させたパズルとして、見て楽しむのが最善のようです。

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