生きている生物をニューラルネットに変換する
今回の研究により、生きている大腸菌の細胞を使って、ニューラルネットのような学習システムが構築できることが示されました。
大腸菌たちは抗生物質を避けるために遺伝子回路に調節を行い、学習を実現していたと考えられます。
研究者たちは、この仕組みはより複雑なタスクにも適応できると述べています。
ただ現状では、バクテリアが化学物質に反応するには時間がかかるために、1勝負は数日がかりになる、とのこと。
また研究者たちは今回の訓練により大腸菌は「負けない」ようにはなるものの「勝つ」にはまた別の学習が必要になると述べています。
加えて各マスにいる大腸菌が互いに連結していないために、厳密な意味でのニューラルネットの定義を満たしているかは議論の余地があるでしょう。
しかしこの仕組みを用いることで、理論上は、人間対大腸菌だけでなく異なる種の大腸菌同士が「〇✕ゲーム」を行うことが可能になります。
なお研究者たちは現在、大腸菌たちにさらに複雑な訓練をほどこし「手書き文字の識別」ができるようなニューラルネットを作成していると述べています。
実験が成功すればそう遠くない将来、人工知能の多くは大腸菌によって作られるようになるかもしれませんね。