人間は特定の単語の組み合わせに面白さを感じる
私たち人間は、特定の単語の組み合わせに対して「面白さ」を感じることができます。
「ダンジョン」「うなぎ」「飯」「犬」といったありふれた単語でも「うなぎ犬」や「ダンジョン飯」と組み合わせるだけで、不思議と興味深く思えてきます。
同様の単語の組み合わせによって生じる面白さは、映画やアニメ、小説のタイトルにもみられます。
「となりのトトロ」「もののけ姫」「涼宮ハルヒの憂鬱」「天気の子」などは、2つの単語の組み合わせの巧みさによって面白さを演出することで、人々の記憶に深く残っています。
この何気ない事実は、たった2つの単語だけでも人間は注意を惹くような面白さを生成可能であることを示します。
しかし、脳がどのような法則でユーモアを感じ取っているかは、意外に知られていませんでした。
そこで今回、シンガポール国立大学の研究者たちは約5000個の英単語をランダムに2つ組み合わせたものを作成し、人々がどんな法則で面白さやユーモアを感じているかを調べることにしました。
すると面白いと評価された単語ペアには、いくつかの特徴があることが判明します。
鍵となったのは「組み合わせの意外性」「下品さ」「体」そして「音感」でした。
たとえば研究では、人々が面白いと判断したトップ10には「ペニスいたち」「ばらまき陰嚢」「乱暴な腸」などがあったと報告されています。
もとは英単語のため、和訳ではトップ10の面白さはあまり伝わりませんが、これらは組み合わせに意外さがあると同時に、片方に下品な単語や体の部位の単語が含まれているものが多く確認できたそうです。
また「パンジーパンティー」「ノームボーン(ノームの骨)」など前後の音感がかぶるものも面白いと評価されていました。
一方で「パワー影響力」「トラブル言及」「スケジュール年」「大小」のような、つながりに意外性がなく既視感のあるものが、つまらない単語ペアのトップ10に並んでいました。
この結果は、最も面白い単語ペアを作るには「組み合わせの意外性」を基本にして「下品さ」や「体」などに関連した単語を取り込み「音感」を整えることが重要であることを示します。
(※元となる単語たちは英語なので音感や微妙なニュアンスについては日本語と異なる部分があります。たとえばパンジーの場合、花の名前に加えて同性愛の男性を意味することがあります)
研究者たちはこのような法則は、コメディーの作成においてよく知られた「3つのルール」にも該当すると述べています。
このルールでは、1つ目と2つ目の内容で基本設定と流れを形成し、3つ目の内容でそれらを「裏切る」ことが重要だとされています。
そのため研究者たちは、プロのコメディー作家になるには同様の「裏切り」を言語とストーリーの両方で生成し、統合する能力に優れている必要があると結論しています。
しかし、いったいどうして人間はこれらの要素に面白さやユーモアを感じてしまうのでしょうか?
そもそも、面白さやユーモアとはいったい何なのでしょうか?