まずRNAが先に作られた
今回の研究により、RNAはアミノ酸を独自に重合してタンパク質を作れることが示されました。
既存のRNAワールド仮説ではRNAと翻訳機(リボソーム)の関係がニワトリと卵の関係のように矛盾していましたが、実験結果はRNAの生成が先立って行われたことを支持しています。
また純粋な意味でのRNAワールドは存在せず、RNAとタンパク質は常に同じ分子内に存在したと結論しています。
古代のRNAにも含まれていた非常に歴史ある塩基には、アミノ酸によって独自に修飾される機能があり、結合と乖離の繰り返しによってアミノ酸を伸長させることができました。
さらに、より長いRNAを用いた実験では、RNAの複数の地点でアミノ酸の重合が発生している様子も確認されています。
生命誕生の過程において、RNAとタンパク質の関係は互いに影響しあうことで、生命機能の働きを担う遺伝子や機能的なタンパク質が誕生したと考えられます。
研究者たちはリボソームなどの現在の地球生命において翻訳機を担う存在も、原始的なRNAとタンパク質の相互作用が積み重なって形成されたと述べています。
もしかしたら未来の生物の教科書では、RNAワールド仮説に続いて「アミノ酸の重合は酵素なしにRNAだけで起こる」という一文が付け加えられているかもしれませんね。
※この記事は2022年5月公開のものを再掲載しています。