代謝率で「温血or冷血」を見極める
代謝というと「体型を維持しやすいかどうか」という観点で考える人が多いかもしれません。
しかし、研究主任のヤスミナ・ウィーマン(Jasmina Wiemann)氏いわく、「代謝の核心は、呼吸した酸素をいかに効率よく化学エネルギーに変換し、体の燃料とするか」であるという。
哺乳類や鳥類など、代謝率の高い温血(恒温)動物は、一定の体温を保つために多くの酸素を取り込み、カロリーを消費し続けなければなりません。
反対に、爬虫類や魚類など、代謝率の低い冷血(変温)動物は、外気温に体温を依存するため、発熱の必要がなく、呼吸や食事量が少なく済みます。
たとえば、トカゲは冬場になると、よく樹上から地面に落っこちて動かなくなります。
これは死んでいるわけではなく、血液が冷えすぎて、体が動かなくなるためです。
そのため、バスキング(日光浴)をして体を温めなければなりません。
今回の研究チームは、恐竜の体温を調べる方法として、代謝率の基本的な特徴の一つである「酸素消費量」を調べるという今までにないアプローチをとりました。
まずチームは、恐竜・翼竜・水棲の首長竜・現生の鳥類、哺乳類、爬虫類など、55種類の動物の大腿骨を分析。
そして骨の中の呼吸に関連した代謝産物の量(=酸素消費量)を調べ、現生する動物たちの代謝率と比較しました。
このデータをもとに絶滅した恐竜たちの代謝率を推定した結果、恐竜はグループによって、温血と冷血のいずれかに分かれることが判明したのです。