実寸大の「ダークスター」をアメリカの航空機メーカーと共同で開発!
映画製作陣は、本作に「意表をつく驚きの飛行マシンを登場させたい」と考え、アメリカの航空機メーカー「ロッキード・マーティン(Lockheed Martin)」の開発部門・スカンクワークス(Skunk Works)に協力を依頼しました。
スカンクワークスは、日々、通常では不可能に近いジェット機の構想と開発に取り組んでいます。
パートナーシップの締結後、スカンクワークスは少数の開発チームを編成し、実際には存在しないモデル機の構想を開始しました。
機体のコンセプト作りから、コックピットを備えたリアルな実寸大モデルの製作まで、一貫して取り組んでいます。
しかし、この仕事は言うは易く行うは難しで、最終的なモデルを完成させるまで、チームは何度も試行錯誤を繰り返したといいます。
そして完成したのが、極超音速機「ダークスター(Darkstar)」でした。
同社CEOのジェームズ・タイクレット(James Taiclet)氏は、自社の開発部門が映画製作陣と協力し、「最先端かつ未来のテクノロジーを劇場の大スクリーンにもたらした」と声明を出しています。
また、自らも航空機マニアだというジョセフ・コシンスキー監督は、取材に対し、「できる限りリアルな機体を感じさせるために、スカンクワークスと協力した」と説明。
「ですから、機体の機能や見た目、スイッチ、スティックなどの細部に至るまで、実際のテスト用航空機から取り出したものです」と述べています。
実寸大のダークスターは、スカンクワークスのエンジニアが設計と製造を担いました。
完成したモデルは、中国政府が注目するほどリアルに作られており、なんと撮影中にアメリカ海軍から「中国の衛星が航空機を見るために、別ルートに向かった」と報告を受けたそうです。
「アメリカがトンデモない機体を作った」と勘違いしたのでしょうか。
しかし、ダークスターはあくまでもモデル機であり、劇中のようなスピードで飛んだりはしません。
ダークスターの「モデル」になった機体がある?
ダークスターは架空の機体ですが、極超音速機は、かなり以前から米軍の開発リストに挙がっています。
たとえば、ロッキード・マーティンで1960年代に開発された「SR-71ブラックバード」は、”史上最速の戦闘機”として知られ、有人機として世界最速のマッハ3を記録しています。
本機は1998年に退役していますが、同社は2013年に、”ブラックバードの息子”と称して、「SR-72」の開発計画を発表。
こちらは無人ジェット機ですが、最高速度はマッハ6になると予想されています。
2017年にエンジンテストが実地され、2025年までに初飛行を行うと報道されていますが、詳細はまだ明らかにされていません。
また、航空業界の識者によれば、SR-72の機体には、ダークスターとの類似点が多く見られるという。
そのため、ダークスターは、目下開発中のSR-72を大いにヒントにした可能性があります。
ダークスター誕生は、まったくの夢物語ではないかもしれません。