唇が赤い理由
顔のパーツにおいて、自然と目を引く唇。
一度、鏡で見てみてほしいのですが、唇の色は上下で異なります。
下唇のほうが、上唇よりも赤く、鮮やかに見えるのではないでしょうか。
実は唇の成り立ちは、上唇と下唇で異なるのです。
唇のルーツ
本来、唇の色には二つの要素があります。
もともと、顔の皮膚が一般的に最大16層からなるのに対し、唇の皮膚は3~5層という薄さのため、毛細血管に流れる血の色(ヘモグロビンの色)が透けて、唇は赤く見えます。
もう一つは、皮膚に含まれるメラニン色素も見た目の色に影響しています。
そして、上唇のほうがメラニン量が多く、毛細血管に流れる血のヘモグロビン量は下唇のほうが多いことがわかっています。
というのも、医学的には、上唇は顔面表皮の延長ですが、下唇は口内粘膜の延長なのです。
私たちは普段、「唇」を一つのパーツとして認識していますが、医学的なルーツで見ると、上唇と下唇では全く別物ということです。興味深いですね。
唇の色と女性の魅力度の関わり
女性の唇の色は、やはり口紅で赤みを際立たせるほうが、女性らしさや魅力のアピールとして効果的なようです。
唇の魅力にまつわる、2つの研究をご紹介します。
2010年に学術誌『Perception』で発表された研究では、唇の明度や色のコントラストが、人の顔の魅力や「男らしさ」「女らしさ」のようなイメージに与える影響について検証されました。
研究では、人間が写った写真に対し、参加者が唇の色をキャリブレーション(調整)する実験が行われました。
参加者は女性の写真に対し、女性らしさや魅力を高める操作として、唇の赤みが増すようにコントラストを調整する傾向にありました。
一方で、参加者は男性の写真に対して、男性らしさを高める操作として、赤みを減少させる傾向にあったそうです。
また、同じく2010年にマンチェスター大学によって行われた研究では、男性被験者50名が様々な女性の写真を見せられ、その眼球の動きが調べられました。
結果、写真の女性が口紅をつけていた場合、男性は最初の10秒間のうち平均して7秒間は唇だけを見ていました。
しかし、写真の女性が口紅をつけていなかった場合、唇を見つめる時間は平均2.2秒と短くなり、そのぶん目や鼻に視線が移ったということです。
以上のような結果になった理由として、研究者の間では「唇は女性の外見で最も官能的な部位だから」「赤という色が性的魅力を持つ色だから」など様々な推測が挙がっています。
少なくとも、女性がメイクによって男性の視線を最も惹きつけられるパーツは、他でもなく唇のようです。
昨今のマスク社会だからこそ、いざというときのギャップの見せ場に向けて、真っ赤な唇を常備しておくのもいいかもしれません。