ウイルスが「蚊にとって魅力的な体臭」へと変化させる
蚊は、体温や息に含まれる二酸化炭素、匂いなどを手がかりとして、血液を吸う対象を探していると考えられています。
そして、その蚊にとって魅力的な匂いは、蚊が媒介するウイルスに感染した場合、特に強化される可能性があるようです。
実際2014年の研究では、マラリアに感染したマウスの体臭が変化し、蚊にとって魅力的な匂いを放つようになったという報告があります。
これはウイルスが、自分たちの繁栄(感染症の拡大)のために、蚊を利用することを学んでいる可能性を示唆するものです。
そこで今回、チェン氏ら研究チームは、同じく蚊媒介感染症であるデング熱やジカ熱のウイルスについて調査することにしました。
最初の実験では、デング熱やジカ熱に感染したマウスと、感染していない健康なマウスをそれぞれ用意しました。
そしてネッタイシマカを入れた容器にそれぞれのマウスの匂いを漂わせ、どちらのマウスにより多くの蚊が集まるかを比較したのです。
その結果、約70%の蚊が感染したマウスの方に集まりました。
ちなみに感染の有無で二酸化炭素の排出量は変化しませんでした。
また体温に違いのあるマウスを蚊が区別しなかったことから、体温が要因である可能性も否定できます。
つまり、デング熱とジカ熱に感染したマウスは、蚊にとって魅力的な匂いを発していたと考えられるのです。
では、この「蚊にとって魅力的な匂い」とはいったい何だったのでしょうか?