完璧主義には3つのタイプがある
完璧主義は、ミスや欠点に対し過度に批判的である点で一致しますが、実は、3つのタイプに分けられます。
1つ目は、「自己志向型・完璧主義(SOP: self-oriented perfectionism)」で、自分の成功のために自分に厳しくなるタイプを指します。
いわば、自己に完璧さを求める”めちゃくちゃストイックな人”のことです。
2つ目は、「他者志向型・完璧主義(OOP: other-oriented perfectionism)」で、自分ではなく、他人に厳しくなるタイプを指します。
教え子に厳しい”鬼コーチ”をイメージするとわかりやすいでしょう。
そして3つ目は、「社会規定型・完璧主義(SPP: socially prescribed perfectionism)」で、他者に完璧さを求められることで、自分に厳しくなるタイプを指します。
つまり、親の期待によって生じる完璧主義は、これに当たります。
この完璧主義は、抑うつや不安障害などを引き起こすリスクが3つの中で最も高く、専門家は若者における社会規定型(SPP)の増加をとくに懸念しているのです。
親の期待が強いほど、完璧主義が助長される
研究チームは今回、アメリカ、イギリス、カナダで過去に実施された調査データを対象に、2つのメタ分析を行いました。
メタ分析というのは過去に報告された複数の同系統の統計的研究を比較して、改めて分析評価し直す研究手法です。
そして第一に、若い世代における完璧主義が、親のプレッシャーといかに相関するかを検証すべく、21の先行研究を分析。
これらの研究は、1991年から2020年の間に実施されたもので、9歳から43歳までの計7060人が参加し、そのすべてで「完璧主義・親の期待・親による批判的教育」に関する評価・測定が行われています。
メタ分析の結果、「親からの期待やプレッシャーを強く感じている」と報告した参加者ほど、完璧主義の度合いも高くなることが示されました。
第二に、親からの期待やプレッシャーに対する若者の認識が、時代ごとにどう変化したかを調べるため、時系列でのメタ分析を実施。
これは、1991年から2021年の間に行われた82件の研究に対して行われ、18歳から23歳の大学生、計2万3975人が含まれていました。
分析の結果、親からの期待やプレッシャーに対する若者の認識は時代とともに増大し、最近の世代ほど、過去の世代よりも「親からの圧力が強い」と感じる傾向にあったのです。
この結果は「現代の親ほど、子どもの学習状況に対し監視的・介入的になっている」という最近の研究報告と一致しています。
つまり、時代とともに親の教育的熱心さが高まっており、それに伴って、社会規定型の完璧主義が若者の間で増加していると結論できるのです。
では、この責任のすべてを親にのみ負わせることは可能なのでしょうか?
これについて、研究主任のトーマス・カラン(Thomas Curran)氏は「ノー」と答えます。