人工ニューロンでマウスの足を動かすことにも成功
いったいどうやって本物のニューロンの持つ3つの仕組みを再現したのか?
研究者たちは上の図のように、人工ニューロンを3つの部位にわけました。
そして一方の端(図の左)に、グラフェンとカーボンナノチューブからなる電極で作られたドーパミン検知センサーを配置しました。
ドーパミンが十分量検知されると、中央のメモリスタと呼ばれる部分が反応し、もう一方の端(図の右)に配置されたドーパミンを含んだヒドロゲルが熱されて、ドーパミンが放出されます。
つまり神経伝達物質であるドーパミンを受け取り、放出することができる仕組みを作ったのです。
人工ニューロンが完成すると、研究者たちはさっそく生体でのテストにうつります。
最初のテストはラットの脳細胞でした。
研究者たちが人工ニューロンの左右端をラット脳細胞に接続すると、脳細胞から分泌されたドーパミンが人工ニューロンに流れ込み、人工ニューロンから脳細胞にドーパミンが分泌され、さらに脳細胞からドーパミンが分泌されるループ回路が構成されました。
また上の図のように麻酔で眠らせたマウスの肢の神経に人工ニューロンをつなげ、ドーパミン検知センサーにドーパミンを与えたところ、マウスの運動神経を刺激して肢を動かすことに成功しました。
これら脳細胞と肢に対する実験により、人工ニューロンが生体適合性を持つことを示します。