本物のように神経伝達物質を送受信できる新型「人工ニューロン」が開発!
本物のように神経伝達物質を送受信できる新型「人工ニューロン」が開発! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
biology

人体の神経と直接接続できる新型「人工ニューロン」を開発! (2/3)

2022.08.10 Wednesday

前ページ本物のように神経伝達物質を送受信できる新型「人工ニューロン」が開発!

<

1

2

3

>

人工ニューロンでマウスの足を動かすことにも成功

人工ニューロンの模式図
人工ニューロンの模式図 / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

いったいどうやって本物のニューロンの持つ3つの仕組みを再現したのか?

研究者たちは上の図のように、人工ニューロンを3つの部位にわけました。

そして一方の端(図の左)に、グラフェンとカーボンナノチューブからなる電極で作られたドーパミン検知センサーを配置しました。

ドーパミンが十分量検知されると、中央のメモリスタと呼ばれる部分が反応し、もう一方の端(図の右)に配置されたドーパミンを含んだヒドロゲルが熱されて、ドーパミンが放出されます。

つまり神経伝達物質であるドーパミンを受け取り、放出することができる仕組みを作ったのです。

人工ニューロンが完成すると、研究者たちはさっそく生体でのテストにうつります。

最初のテストはラットの脳細胞でした。

研究者たちが人工ニューロンの左右端をラット脳細胞に接続すると、脳細胞から分泌されたドーパミンが人工ニューロンに流れ込み、人工ニューロンから脳細胞にドーパミンが分泌され、さらに脳細胞からドーパミンが分泌されるループ回路が構成されました。

画像
Credit:Ting Wang et al . A chemically mediated artificial neuron (2022) . Nature Electronics

また上の図のように麻酔で眠らせたマウスの肢の神経に人工ニューロンをつなげ、ドーパミン検知センサーにドーパミンを与えたところ、マウスの運動神経を刺激して肢を動かすことに成功しました。

これら脳細胞と肢に対する実験により、人工ニューロンが生体適合性を持つことを示します。

次ページ人工ニューロンは医療やパワードスーツの開発に利用できる

<

1

2

3

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

生物学のニュースbiology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!