グルタミン酸の過剰な蓄積を解消するには休息が大切
グルタミン酸の蓄積は精神的疲労をつくり出しますが、それ自体の存在が問題なのではありません。
そもそもグルタミン酸は脳にとって重要な神経伝達物質であり、気分・記憶・学習能力をコントロールし、脳の機能を最適化する役割を担っています。
また中枢神経系で興奮性の神経伝達物質としても働き、神経細胞を刺激し、情報を受け取りやすくする働きもあります。
そのため疲労を引き起こすのはグルタミン酸の存在ではなく、グルタミン酸の過剰な蓄積です。
ハードな認知作業によってグルタミン酸が過剰に蓄積されると、脳信号の微妙なバランスが崩れ、情報伝達が損なわれます。
重篤な場合には、毒性を引き起こすこともあるといいます。
そのため精神的な疲れを感じているときというのは、判断能力が大きく損なわれた状態でもあり、脳はより負担の少ない意思決定を重視する可能性があります。
つまり研究チームが指摘しているように、「精神的に疲れている時には重要な決定を下してはいけない」のです。
では、過剰蓄積したグルタミン酸をリセットするにはどうすればよいのでしょうか?
研究チームは、グルタミン酸の濃度が、睡眠や何らかのリラックスした活動の後に、正常値に戻ることも教えてくれています。
「疲れには休息と睡眠が必要」という考えは、身体的疲労と精神的疲労の両方に通じるものだったのです。
勉強やデスクワークで脳を働かせたなら、その後に不適切な判断をしないためにも、十分な休息を取りましょう。
今後、研究チームは、「ハードな認知作業によってグルタミン酸が過剰蓄積される理由」についても調査していく予定です。