「超音波ステッカー」なら運動中の超音波画像を確認できる
新しく開発されたのは、ステッカータイプの超音波診断機器です。
この「超音波ステッカー」のサイズは2cm2で、厚さ3mm。切手ほどの大きさしかありません。
硬いトランスデューサ(超音波の送受信や超音波と電気信号の変換を担う)と、柔軟性のある粘着層を組み合わせています。
粘着層には、従来のものとは異なった弾力性と伸縮性を備えた「超音波を伝えるゼリー」が含まれており、追加で皮膚にゼリーを塗る必要がありません。
「ゼリーを塗ってプローブを押し当て続ける」作業がなくなり、「超音波ステッカーを貼るだけ」になったのです。
実験では、ステッカーが被験者の首や胸、腹、腕などに貼られ、最長48時間も鮮明な画像を映し続けることに成功しました。
しかもその間、被験者は座ったり立ったりするだけでなく、ジョギングやサイクリング、ウエイトリフティングなども行えました。
超音波ステッカーを使えば、運動時の体内の様子を安全に、リアルタイムで観察できるのです。
実際、心臓や血管が運動によって変化する様子、ジュースを飲んで胃が膨らむ様子、重い物体を持ち上げたときに筋肉がわずかに損傷する様子などを確認できました。
研究チームは、このステッカーを利用して、「運動によって筋肉が酷使される前の状態を画像でとらえ、筋肉痛が生じる前に運動を止めさせることもできるかもしれない」と述べています。
ところが現段階では、画像を観察するためには、ステッカーを「画像に変換する機器やモニター」に接続しなければいけません。
「長時間検査の負担軽減」や「運動中の体内観察」は可能になりましたが、結局は専用設備のある病院を訪れなければいけないのです。
しかしチームは現在、超音波ステッカーのワイヤレス化と画像処理できるAIアルゴリズムの開発に取り組んでいます。
将来的には、薬局で絆創膏を買うかのように超音波ステッカーを入手し、「スマホと通信させて体内画像を確認する」ことも可能かもしれません。