10人に1人は希少疾患を持っている
今回の研究により、遺伝子治療がAACD欠損症の子供たちに対して、効果的であることが判明しました。
遺伝病の原因は変異を起こした遺伝子であるため、遺伝子治療によって正しい遺伝子を細胞やゲノムに組み込むことで、治すことが可能になります。
治療に使われた「Upstaza」は2022年7月に欧州医薬品庁(EMA)によって承認されており、今後AACD欠損症に苦しむ幼い子供たちを救う有力な手段となるでしょう。
また遺伝子治療技術の進歩は希少疾患以外にも、他の多くの人々に恩恵をもたらすと考えられています。
これまでの研究により、AACD欠損症のように致命的ではなくとも、私たちの10人に1人は何らかの希少疾患になるリスクを抱えていることが報告されています。
10人に1人というとかなり盛っているように思えますが、本当です。
私たち人間は30億対のDNAの中に2万以上もの遺伝子をかかえていますが、その全ての遺伝子が「正常」である確率は意外に低いのです。
もしかしたら未来の医療では、自分の身体や精神において短所になるような性質を、遺伝子治療で治せるようになるかもしれません。
さらに遺伝子治療から遺伝子修復へと技術が発展すれば、老化によって劣化した体の遺伝子を修復することが可能になり、本当の意味での若返りも可能になるでしょう。