思っていたほど理解していないことを知る「恐怖」
学習を行う人は、誰でも同じ恐怖を持ちます。
あれだけ勉強したのに全然ダメだった、という「無駄に終わる恐怖」だけでなく「思っていたほど理解していなかったことを知る恐怖」も存在します。
そのため多くの学習者は、自分が学習した成果のチェックを意識的にも無意識的にも避けようとし、結果として「積極的な思い出し」を行う機会を捨ててしまいます。
もし参考書の章末ごとにある練習問題を避けて次の分野に進もうとする傾向が強い人がいるならば、その人は学習の恐怖に負けてしまっているのかもしれません。
研究者たちは学習効果を最大化するには「積極的な思い出し」をルーチンワークに組み込むことが重要であると述べています。
問題集や模擬テストに挑むのに気が引けるならば、明日や一週間後の自分に向けたクイズ問題を作るのを習慣化するのも手かもしれません。
「積極的な思い出し」を促すあらゆる工夫は、いかにして恐怖を取り除くかにあると言えます。
もし恐怖に負けて知識のチェックを怠り続ければ、未来は暗いものになるでしょう。
研究者たちの言葉を借りれば「入学試験、プレゼンテーション、面接」など、より厳格に知識の有無や学習成果を測られる場所で、その「ツケ」を払うことになるとのこと。
一方で、知識のチェックを続けることには大きな恩恵があります。
常に自分の知識をチェックする「積極的な思い出し」を続けることができれば、自分の学習の進み具合を判断する、もう一人の自分の存在を育てることができるでしょう。
研究では、このもう一人の自分による評価を「メタ認知」と呼んでいます。
メタ認知のメタは、アニメやマンガなどでしばしば登場人物が「このアニメは~だから」「視聴者のみなさんどうでしょう?」など物語の壁を突き破った場合などに言われる「メタ的発言」に使われるメタと同じ概念です。
いくつかの研究では、学習の達成感や恐怖を感じている自分を、より高い場所から認識し(メタ認知し)学習の進み具合を冷静に判断する能力を磨くことが、学習の隠れた究極の目標の1つだと述べられています。
この隠れた究極の目標を達成できれば、あらゆる学習は今よりもずっと効率的に進められるようになるでしょう。