加工食品は「病気からの回復力」を阻害する?
研究主任で免疫学者のカール・フェン(Carl Feng)氏と栄養生物学者スティーブン・シンプソン(Stephen Simpson)氏は、マウスの驚くべき生存率の差について、「ウイルスに対する免疫反応の欠如は関係していなかった」と説明。
それよりもむしろ「加工食品がなんらかの原因で、病気からの回復力を阻害している」と指摘しました。
たとえば、事後分析の結果、感染した細胞から放出されるシグナル伝達タンパク質「インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)」が低体温と関連していることが判明しています。
体温の維持は病気からの回復にとって欠かせません。
そこで、IFN-γの受容体を欠損させたマウスに加工飼料を与えたところ、穀物飼料を与えたマウスと同様に体重と体温を回復させることができたのです。
このことから、IFN-γが加工食によって引き起こされる体温低下を媒介していることが示唆されましたが、その詳細なメカニズムはまだ明らかになっていません。
本研究の現時点での意義は、私たちよりも実験動物の飼育にあり、フェン氏は「この結果を今すぐヒトに置き換えることは困難である」と述べています。
自然由来の食品と加工食品は、大方の栄養価は同等でも、ビタミンやミネラルといった微量栄養素や食物繊維に違いがあります。
また加工食品が、添加物や化学物質で精製されている点も大きな違いです。
加工度の高い食品で私たちがよく口にするものと言えば、カップ麺や冷凍食品、スナック菓子、ファストフード、マヨネーズやマーガリン、炭酸飲料などがすぐに思い当たります。
朝食や昼食をサクッと済ませられるカロリーメイトやウイダーもそれに含まれるでしょう。
「加工食品ばかり食べると健康に悪い」とは耳が痛くなるほど聞かされていますが、健康時であれば特に何の異常もありません。
しかし先のマウスと同様に、病気時にカップ麺やファストフードを食べていると、治りが悪くなるのは容易に想像できます。
加工食品の何が身体の回復システムを阻害しているのかは今後の研究課題となりますが、私たちヒトでも、加工食品の食べ過ぎが病気の治りを悪くする可能性はありそうです。