ストレス後に起こる体と心のズレ
研究チームは今回、82人の参加者(18~40歳、女性42名、男性40名)を対象に、まず強制的にストレス状態を作り出しました。
方法は「社会的評価つき冷水圧刺激テスト(SECPT)」と呼ばれるもので、4℃の冷水に3分間、利き手ではない手を浸すという内容です。
さらにカメラの前でじっと見つめられ、20秒ごとに「いまの気分はどうですか?」と尋ねられるという心理的圧も加えられました。
このテストは、心理的・生理的ストレスの両面において非常に効果的であることが過去の研究でも示されています。

その直後、参加者たちは2つのグループに分かれ、PlayStation 5の『プレイグ テイル -レクイエム-』というアクション・アドベンチャーゲームをプレイしました。
一方は「暴力的なシーン」、もう一方は「非暴力的なシーン」をプレイするという条件の違いだけで、プレイ時間はどちらも25分程度です。
このとき、チームは参加者の心電図(ECG)で心拍数を計測し、唾液中のコルチゾール(ストレスホルモン)を採取して、さらに主観的な「ストレス感」「リラックス感」もアンケートで記録していきました。
すると、興味深い違いが浮かび上がりました。
暴力的なシーンをプレイしていた参加者たちは、「プレイが進むにつれてストレスを感じた」「あまりリラックスできなかった」と主観的に回答しました。
一方で、非暴力的なシーンをプレイした人たちは、「終わった後にはリラックスしていた」と感じたと答えています。
ところが身体の反応は、まったく異なる“真実”を語っていたのです。