効率的な酪農を目指す「スマート牧場」
ウシの飼い方には牛舎で飼う「舎飼い」と「放牧」があります。
日本では土地の狭さや個体管理のしやすいから舎飼いが多くなっているものの世界的には放牧がスタンダードです。
舎飼いには牛舎の掃除など多くの労働力が必要であり、放牧の方がそういった作業がない分、低コストであるとされています。
しかし、放牧は放牧で個体や牧草地の管理が難しいというデメリットがありました。
それを解決するために生まれたのが「スマート牧場」という考え方です。
スマート牧場とは、ウェアラブル端末でウシの状態を把握したり、ドローンで牧草地の状況を把握したりした上で、それらの情報を紐づけ、低コストに飼育・管理していく方法です。
ウシの搾乳についてはすでに機械化がかなり進んでいるため、これらのデータ管理を組み合わせると大きな労働力削減になります。
生乳量だけでなくウシのQOLも向上
ウシに取り付けられたウェアラブル端末は人間でいうところのスマートウォッチのようなものです。
食事量や運動量、血中酸素濃度だけでなく、生殖周期や乳量なども計ることができ、適切な健康管理が可能です。
ウェアラブル端末ではウシの病気の兆候の一つとされる跛行についても感知することができるため、早めの治療を行うことができます。
スマート牧場による放牧をメインとした飼育では、牛舎よりも広い牧草地で多くの時間を過ごすことでウシのストレスも少なくなり、生乳量や生乳品質の増加にもつながると言われています。
スマート牧場を運営するエネルギーが課題
このように少ない労働負荷で酪農運営が叶う「スマート牧場」ですが、1つだけ課題がありました。
スマート化によってかかる電力です。
これまではスマート牧場の電力は化学電池に頼らざるを得ない状況が続いていましたが、それでは本当の意味で「持続可能な酪農」とは言えません。
そこで、提唱されたのが「ウシの動きを使った発電」です。