惑星レーダーで取得した高解像度の月面写真が公開される
現在グリーンバンク望遠鏡に装備されている電波送信機は低出力(13.9GHzで最大700ワット)のプロトタイプバージョンです。
これは家庭用電化製品レベルの電力ですが、それでも月面で反射して5m×5mの超高解像度(約14億ピクセル)の画像を生成することができます。
史上最高の解像度を誇る月面画像が取得できるのです。
例えば2021年1月には、アポロ15号の月面着陸地点の画像を生成しました。
月面の凹凸がはっきりと見て取れますね。
1971年、アポロ15号に搭乗した宇宙飛行士たちがこの月面で過ごしたことを考えると、感慨深いものがあります。
50年以上経った今では、地上から取得した画像で、月面の様子が手に取るように分かるのです。
そして今回、同じく月面の「ティコ」クレーターについて、これまでにない高い解像度の画像が公開されました。
ティコは直径85kmほどのクレーターであり、取得できた高解像度の画像からは、クレーター内側の小さな凹凸を見分けることができます。
低出力のプロトタイプでさえこれほどの解像度レベルであることを考えると、次世代惑星レーダーの完成が待ち遠しく思えます。
実際、開発者たちは、プロトタイプの約1000倍の出力(500キロワット)で送信できるフルバージョンを開発したいと考えています。
また彼らは、この次世代惑星レーダーが将来「惑星防衛」に役立つとも考えています。
地球と衝突する恐れのある物体を検出・追跡するのに役立つというのです。
その証明として、今回の会議でも「プロトタイプのレーダーで地球から210万km(地球から月までの距離の5倍以上)離れた直径1kmサイズの小惑星の情報を取得できた」と報告しました。
今後は高解像度の画像取得だけでなく、惑星の物理的・動的特性を評価するのにも役立っていくことでしょう。