実はわかりづらいイルカの年齢
毛の生えた動物ならば毛の艶などである程度の年齢が推測できますが、イルカの場合は艶々の表皮は年をとってもほとんど変わることがなく、見た目からだとおおまかな年齢を推測することすら困難です。
しかし野生のイルカの生態を解明し、保全活動を行う上では、イルカの群れの年齢分布や年齢による死亡率などの把握が欠かせません。
歯や耳垢からの年齢測定は生きている個体には困難
これまでのイルカの年齢を測定する方法としては、歯の断面にできる層を数える方法や、耳穴をふさいでいる耳垢の層を数える方法などがありました。
しかし、歯はもちろんのこと実は耳垢も生きている個体から採取するのは困難なものです。
イルカの耳にとって耳垢は耳栓のようなもの。
イルカは下あごの骨の振動が直接内耳に伝わって音を把握しているため、耳穴は耳垢でずっとふさがれている状態がデフォルトであり、耳垢を人間のように簡単に取り出すことはできないのです。
このため、この2つの方法は生きた個体には使えず、死んだ個体を回収することでしか年齢を知ることはできませんでした。
出生時から年齢を数えるしかない
生きた個体の年齢を把握するためには、新しく生まれた個体を識別し、そこから年齢をカウントしていく方法しかありません。
しかしこの方法では調査開始以降に生まれたイルカしか正確な年齢を判断できません。
そこで開発されたのが、イルカの「外観」画像から年齢を測定する方法です。