イモムシは後退が得意
「後退できない」生物は、意外と少なくありません。
例えば、カンガルーやヘビ、サメなどは体の構造上、後退ができません。
そして後退できる生物でも、その動作を苦手とする場合がほとんどです。
私たち人間も後ろ歩きできますが、通常の歩行に比べると、はるかに遅くなりますね。
そもそも「後退」が必要な場面などほとんどないため、後退できなかったり苦手だったりしても特に問題はないでしょう。
しかし「非常に狭い道や障害物の多い環境」では、「後退」の機能が役立ちます。
例えば、「車ギリギリ1台分の幅しかない険しい山道を進むと、行き止まりだった」なんて場面では、車がバック走行できることに感謝するでしょう。
このことは災害時の救助・捜索活動にロボットを用いる場合にも当てはまります。
人間には入っていけない環境にアプローチする探索ロボットには、生物たちが苦手とする「後退」機能が必要なのです。
そこで研究チームは、シンプルな構造でありながら、前進も後退も得意とするイモムシに着目しました。
イモムシはその体を順番に曲げることで移動しますが、その動きを模倣した薄型のソフトロボットを開発することにしたのです。