学習方法の理解に至るためには、どんなことをすればいいの?
学習方法を理解している子どもと、理解していない子どもを比較した分析結果によると、両者の違いはさまざまな学習方法を実践しているかどうかにあることがわかりました。
特に、「自己調整方略」(自分に合った勉強のやり方を工夫すること)や、「モニタリング方略」(何がわかっていないか確かめながら勉強すること)、「プランニング方略」(計画を立てて勉強すること)において大きな差がついています。自分の学習を客観的にとらえ、自分で調整しながら学ぶことが、学習方法の理解を促進しているのです。
これは、見方を変えると、学習方法を理解している子どもは、最初からいきなり上手く行った訳ではなく、さまざまな勉強のしかたを試行錯誤している可能性が高い、ということが言えるのかもしれません。
世の中にはさまざまな勉強方法が存在していますが、どの学習方法が自分にあっているかは色々試してみないことにはわかりません。ここを怠ると、自分には合わない勉強方法を採用して思うように成果が上がらないという状況に陥る可能性があるかもしれません。
また、その他、「メリハリ方略」(遊ぶ時は遊び、勉強する時は集中して勉強すること)、「意味理解方略」(問題が解けた後に別解がないか考えること)、「深化方略」(授業で習った内容を自分なりに更に詳しく調べること)なども、学習方法を理解するために役立っているようです。
「学習方法の理解」の、学習面以外への効用
また、「学習方法の理解」は、論理的に考える力や粘り強さのような資質・能力にも関連することがわかりました。
「論理的に(筋道を立てて)考えること」が得意か苦手かをたずねた結果では、成績上位層ほど「得意」が多く、またいずれの成績層でも「学習方法を理解している」と考えている子たちは、論理的な考え方が「得意」であるという結果になっています。
また、「一度決めたことは最後までやりとげる」、すなわち「粘り強さ」についての質問でも、論理的思考への回答結果と同様、成績上位層ほど「あてはまる」が多く、なおかつ、いずれの成績層でも「学習方法を理解している」子の方が「あてはまる」が多い結果となりました。
子どもの時に学習方法を身に付けるということは、学習面へのメリットのみならず、一生にわたって役立つであろう、問題解決のための力を獲得することにもつながるのですね。
まとめ
以上、「学習方法の理解」と「学習意欲」、「成績」についての分析結果をご紹介しました。
これまで、「あんなにたくさん勉強したのに成績が伸びない……」「いつも遊んでいるように見えるあの人、テストの点数だけすごいよね」など、経験則として、学習する時間の長さと成績との釣り合わなさを感じたことのある人は多いと思いますが、実際の調査結果として示されると改めて納得してしまいますね。
成績が伸び悩んでいる人、子供の成績を気になっている親は、今回の結果を参考に、自分にあった勉強方法をいろいろ試しながら見つけることや、遊びと学習のメリハリをつけることを意識するといいかもしれません。
ただ、楽しみを削ってやみくもに勉強するのは効果的ではないので、ロジカルに勉強を楽しんでいきましょう。