進化する3Dプリンターが可能にするもの
3Dプリンター自体にまだ馴染みのない人がほとんどかと思いますが、近年の3Dプリンターは小型化、高速化が進み、造形精度も著しく向上しています。
今では、素人でもランドセル程度の大きさの3Dプリンターで、質の高いものづくりができる時代になりました。
3Dプリンターによって一体どんなことが可能になるのでしょうか?
例えば、欠けてしまったリモコンの蓋、スマホのスタンドやカトラリーの収納。個人専用で、千差万別な「あったらいいな」の「形」を出力できます。
一昔前であれば、非売品や生産終了した部品は諦めるしかなく、リモコンの蓋もテープで誤魔化すほか選択肢はありませんでした。
今や3Dプリンターによって、3Dデータさえ手に入れば一般の人でも職人のような質の高い造形物を印刷して手に入れることができます。
そして、こうしたほしい部品をピンポイントで得られるという能力を医療分野に応用したのが、生体部品を作成できるバイオ3Dプリンターです。
医療兵のバイオ3Dプリンターの導入で期待できるのが、臓器移植問題の解決です。
人口増加、長寿化と共に、勿論臓器移植を必要とする患者数は増えています。
ヒト由来の臓器自体をそのまま移植する場合、人員、時間、技術コスト、全ての面で医療従事者、患者にとって非常に難題です。
ドナー不足の中で、臓器が適合するかどうかの審査。ドナーが見つかったとしても臓器の保存期限や保存技術、臓器運搬にもコストがかかります。
バイオ3Dプリンターであれば、患者由来の細胞を素材にできる為、免疫反応などの適合問題に有効です。
自分の細胞を培養した臓器が現地調達できればドナー不足も問題になりません。保存や運搬コストの軽減も可能になります。
また、再生医療への期待も大きいです。バイオ3Dプリンター任意の大きさ、形状で造形できる為、個々の患者さんにカスタマイズされた治療が可能となります。
バイオ3Dプリンターの素材として、自分の細胞を培養した細胞を用いることで遺伝子レベルで生理学的に合致した細胞移植が可能となります。
まさに理想的な再生医療を達成できる力を秘めた技術と言えます。
次のページではバイオ3Dプリンターと、その画期的な成果について解説します。