筋トレには「ぷるるん肌」を作る効果もある
研究者らは、40-50代の女性61名を「有酸素運動」と「筋力トレーニング」のグループに分け、4カ月間、週2回の運動前後で測定を行いました。
測定項目には、皮膚の計測、採血、体組成の測定、運動パフォーマンスの評価などが含まれていました。また、採取した血液サンプル中のさまざまな因子の循環レベルを測定しました。
有酸素運動のプログラム(フィットネスバイク)
- 3分間のウォームアップ(60rpm)
- 30分間の主要な有酸素運動(最大心拍数の65-70%でペダル負荷を調整しながら行う)
- 3分間のクールダウン(60rpm)
筋力トレーニングのプログラム(計測期間中に負荷の増加があった)
- レッグカール、レッグエクステンション、アームカール、ローイング、ショルダープレス、チェストプレスの6種類
- 各マシンで最大重量の50%で5回のウォームアップ
- 3セット10回ずつ(セットの間に2-3分の休息)
結果、どちらの運動タイプでも、皮膚の弾力性と真皮構造の改善がみられました。
運動によって血中の成分が変化し、それが皮膚のコラーゲンやヒアルロン酸などを増加させることがわかったのです。
筋力トレーニングでは、年齢とともに薄くなる真皮の厚さも改善することがわかりました。
これは、筋力トレーニングによって血中の炎症性ケモカイン(CCL28とCXCL4)が減少し、その結果、皮膚の厚さや弾力性を保つために重要なバイグリカンが増加したためです。
もちろん、運動はその他にも身体へポジティブな影響を与えます。
有酸素運動を行ったグループでは、参加者の体重とBMI(体格指数)が減少し、運動中に達成された最大の酸素消費量(VO2peak)に改善がみられ、筋力トレーニングを行ったグループでは、参加者の筋肉量および筋力の増加が確認されました。
研究者らは「筋力トレーニングが、健康だけでなく美肌にとっても良い作用があることが科学的に示されたことで、運動を始めるきっかけや継続するモチベーションとして役立つことが期待されます」と研究の社会的意義を強調しました。
本研究では、筋力トレーニングが真皮の厚みを増加させるメカニズムを明らかにしましたが、有酸素運動が皮膚の若返りをどのように促進するかについてはまだ解明されていません。今後のさらなる研究に期待しましょう。