淡水魚は、むくみの危機にある

一方、淡水魚の場合は、海水魚とは逆の機構となっています。水はほとんど飲まず、体から水分を出す行動、つまり「尿」は大量に放出するのです。なぜこのような方法を取っているのでしょうか?
もし淡水魚がこのような方法を取らなかった場合、彼らは身体がむくんでしまい、最終的には水でパンパンに膨れて破裂する危険すらあるためです。
これは、彼らが水を積極的に飲まなかったとしても、勝手に起こってしまいます。
なぜ自動的にむくんでしまうのでしょうか? それは、彼らの周囲にあるのが、塩分濃度の低い「真水」でるためです。
生物体内の塩分濃度は約1%ほどであるのに対し、真水の塩分濃度は約0.01%ほど。つまり、生物体内の方が塩分濃度が高くなっているため、先に述べた「浸透圧」により、外部から体内へ、水分がドンドン流入して来るのです。
淡水魚は、積極的に水を飲まずとも、勝手に水が体内に入ってくるのですね。
その上、餌を摂取する際に自然と水を飲んでしまうこともあります。この際、淡水魚は逆に塩分が足りていないため、摂取した水から必要な塩分だけを吸収し、あとは大量の尿として排出するのです。
つまり、淡水魚も「浸透圧」の仕組みを利用しながら、淡水から上手く水分を摂取しています。しかし、「周囲にある塩分の濃度が、自分の体内より濃いか?薄いか?」で、海水魚とは真逆の仕組みになるのですね。