ランプや頭蓋骨は「岩場の隙間」に押し込められていた
テオミム洞窟はBC4000年頃から人々によって利用されてきた長い歴史があります。
古代ローマ帝国の統治時代に起きたバル・コクバの乱(132~136年)では、ユダヤ人の反抗勢力がローマ軍から身を隠すためにこの洞窟が使われました。
洞窟自体の考古学調査は1873年から始まり、1970年代には洞窟の最奥部へと繋がる細い通路も見つかっています。
研究チームは2010年から2016年にかけて洞窟の調査を行い、その中で陶器製のオイルランプ120点以上、人間の頭蓋骨3点を発見しました。
これらはいずれも紀元2〜4世紀の古代ローマ統治時代のものと特定されています。
ランプは中央の窪みにオイルを注ぎ、そこに紐を浸して火をつけていたようです。
ところが奇妙だったのは、ランプや頭蓋骨が見えやすい台座の上などではなく、手の届きにくい洞窟の割れ目や隙間の奥深くに押し込まれていたことです。
調査チームもランプを回収するために一々フックの付いた長い鉄棒を使わなければなりませんでした。
これはランプが真っ暗な洞窟内部を見えやすくする照明具としては使われていなかったことを示唆します。
なぜ古代人はランプや頭蓋骨を洞窟の隙間などに置いたのでしょうか?
チームはその謎を解明すべく、当時の文化や習慣を記録した歴史的文献を調査。
その中で浮上したのが「ネクロマンシー(死霊術)」でした。