エルサレムの洞窟で「冥界への入り口」を発見!死者を呼ぶネクロマンシーの証拠か
エルサレムの洞窟で「冥界への入り口」を発見!死者を呼ぶネクロマンシーの証拠か / Credit: Eitan Klein and Boaz Zissu., Harvard Theological Review(2023)
history archeology

エルサレムの洞窟で「冥界への入り口」を発見!死者を呼ぶネクロマンシーの証拠か

2023.07.24 Monday

聖なる都エルサレムで”冥界への入り口”が見つかったかもしれません。

イスラエル・バル=イラン大学(Bar-Ilan University)の研究チームは、エルサレム近郊にあるテオミム洞窟(Te’omim Cave)にて、2〜4世紀に遡る大量のオイルランプや複数の人間の頭蓋骨を発見したと報告。

文献調査から、これらの遺物は死者を冥界から呼び戻すための降霊術「ネクロマンシー」に使われた可能性が高いことが判明しました。

この洞窟は古代人が死者と交信するための秘密の場所になっていたと考えられます。

研究の詳細は、2023年7月4日付で学術誌『Harvard Theological Review』に掲載されました。

Cave Near Jerusalem Shows Signs of Use as a “Portal to The Underworld” https://www.sciencealert.com/cave-near-jerusalem-shows-signs-of-use-as-a-portal-to-the-underworld Placement of ancient hidden lamps, skulls in cave in Israel suggests Roman-era practice of necromancy https://phys.org/news/2023-07-placement-ancient-hidden-lamps-skulls.html Evidence of Necromancy during Roman era in the Te’omim Cave, Jerusalem Hills: Oil Lamps, Spearheads, and Skulls https://arkeonews.net/evidence-of-necromancy-during-roman-era-in-the-teomim-cave-jerusalem-hills-oil-lamps-spearheads-and-skulls/
Oil Lamps, Spearheads and Skulls: Possible Evidence of Necromancy during Late Antiquity in the Te’omim Cave, Judean Hills https://www.cambridge.org/core/journals/harvard-theological-review/article/oil-lamps-spearheads-and-skulls-possible-evidence-of-necromancy-during-late-antiquity-in-the-teomim-cave-judean-hills/973DF6E86AF609B8B4D1296D8292B8EB

ランプや頭蓋骨は「岩場の隙間」に押し込められていた

テオミム洞窟はBC4000年頃から人々によって利用されてきた長い歴史があります。

古代ローマ帝国の統治時代に起きたバル・コクバの乱(132~136年)では、ユダヤ人の反抗勢力がローマ軍から身を隠すためにこの洞窟が使われました。

洞窟自体の考古学調査は1873年から始まり、1970年代には洞窟の最奥部へと繋がる細い通路も見つかっています。

テオミム洞窟の地図(左下のAが入口)
テオミム洞窟の地図(左下のAが入口) / Credit: Eitan Klein and Boaz Zissu., Harvard Theological Review(2023)

研究チームは2010年から2016年にかけて洞窟の調査を行い、その中で陶器製のオイルランプ120点以上、人間の頭蓋骨3点を発見しました。

これらはいずれも紀元2〜4世紀の古代ローマ統治時代のものと特定されています。

ランプは中央の窪みにオイルを注ぎ、そこに紐を浸して火をつけていたようです。

洞窟内で見つかった大量のオイルランプ
洞窟内で見つかった大量のオイルランプ / Credit: Eitan Klein and Boaz Zissu., Harvard Theological Review(2023)

ところが奇妙だったのは、ランプや頭蓋骨が見えやすい台座の上などではなく、手の届きにくい洞窟の割れ目や隙間の奥深くに押し込まれていたことです。

調査チームもランプを回収するために一々フックの付いた長い鉄棒を使わなければなりませんでした。

これはランプが真っ暗な洞窟内部を見えやすくする照明具としては使われていなかったことを示唆します。

なぜ古代人はランプや頭蓋骨を洞窟の隙間などに置いたのでしょうか?

チームはその謎を解明すべく、当時の文化や習慣を記録した歴史的文献を調査。

その中で浮上したのが「ネクロマンシー(死霊術)」でした。

次ページ炎のゆらめきが「死者のメッセージ」になっていた?

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

歴史・考古学のニュースhistory archeology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!