「スタンフォード監獄実験」をご存じですか?
1971年、スタンフォード大学地下実験室を改造して「監獄」を作り上げて行われたこの実験。心理学者フィリップ・ジンバルドーは、この実験によって「特殊な役割や肩書き」を与えられた「ふつうの人」が、その役割に沿った行動を起こしてしまうことを証明しようとしたわけです。
実験では、被験者は「囚人」と「看守」役に分けられ、それぞれが自分の役を演じました。結果はジンバルドーの想像を超えるものとなり、「看守」は「囚人」に対し非人道的な虐待をはじめ、あまりの辛さに実験の中止を申し出る者もおり、2週間の予定だった実験は6日間で幕を閉じたのでした。
しかしその後の実験では中々結果の再現ができず、疑いの目が向けられていたところ、このセンセーショナルな実験が「やらせ」であったことを示すテープが公開。そこではなんと、虐待をはじめとした看守の非人道的な行動について、実験者からの「演技指導」が行われていたのです。
このテープを聞いた神経科学者のJay Van Bavelさんが、一連のツイートの中で驚きの声をあげています。
We listen to the tape today and it was shocking—going well beyond what was already in the shocking blog.
The audio tape included the Warden telling a reluctant guard exactly how to act! This was unlike anything I’ve ever heard of in a psychology experiment.
6/n pic.twitter.com/T7SxyePl7G
— Jay Van Bavel (@jayvanbavel) 2018年6月12日
今日聴いたこのテープの内容は衝撃的だった。 実験者が気乗りしない「看守役」に対して細かい演技指導までしていたんだ!この実験にこんな「裏」があったなんて…
The warden not only told the guard how to act—telling him to act like a brutal prisoner guard—but did so despite the nonstop objections from the guard.
The guard said his role was randomly assigned, the stereotype of violent police was wrong, and he had been in 20 studies.
7/n
— Jay Van Bavel (@jayvanbavel) 2018年6月12日
「看守役」からの絶え間ない反対があったにも関わらず、実験者は「残忍な看守」としてふるまうように指示していた。
そして「看守役」の演技は、被験者にランダムに割り当てられていたんだ。
かなり有名な心理実験ではありますが、以前からこの実験には懐疑的な意見がありました。しかし心理学の教科書にも載るようなこの実験結果が本当に虚偽のものであるとすれば、その影響は計り知れないものとなりそうです。
translated & text by なかしー
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