キリンの模様にはカモフラージュの他に「熱調整」の機能がある
模様なしキリンは今年7月31日、米テネシー州ライムストーンにあるブライツ動物園(Brights Zoo)で誕生しました。
その姿は他の通常個体と違って斑点模様がなく、全身がきれいな褐色に覆われています。
パッと見はほとんど首の長いシカです。
この個体はキリン属の中の「アミメキリン」という種に属しています。
これまでの研究により、キリン属は遺伝的に大きく分けて4種類に分けられるという。
1つ目は南アフリカ・ナミビア・ボツワナなどのアフリカ南部に分布する「ミナミキリン」、2つ目はタンザニア・ザンビアなどのアフリカ東部にいる「マサイキリン」、3つ目はアフリカ中部から東部に散在する「キタキリン」、そして4つ目がケニア・ソマリア・エチオピア南部にいる「アミメキリン」です。
また、これらには亜種が存在するものもあります。
この4種はそれぞれ褐色の斑点模様が少しずつ異なっていますが、その目的や機能は変わりません。
一番はやはり「カモフラージュ」です。
キリンの斑点模様はサバンナの木々や草むらの中にうまく溶け込み、天敵たちが視認しづらくなります。
それから斑点模様には「熱調節」の機能もあります。
褐色や黒色の斑点の下には大きな汗腺が存在し、血管の配置も独特であるため、体に溜まった熱を効率的に外に逃すのに役立っているのです。
新たに誕生した模様なしキリンは、こうした機能に何らかの異常がある可能性もありますが、今のところは健康に何の問題もなく、母親の養育の下、すくすくと元気に育っています。
すでに身長は高さ1.82メートルに達しているとのことです。
またブライツ動物園は声明にて「模様なしキリンの誕生が国際的に報じられたことで、キリンの保護について大きなスポットが当たることに期待している」と述べました。
同園の創設者であるトニー・ブライト(Tony Bright)氏は「現在、野生のキリンは静かに絶滅へと向かっており、野生の個体群の40%が過去30年間で失われてしまった」と話します。
主な原因は森林伐採や土地開発による生息地の破壊、温暖化にともなう干ばつ、そして食用や皮用のための密猟です。
ブライト氏は「私たちはSave Giraffes Nowのような大きな団体に寄付するだけでなく、アフリカに赴いて野生キリンの保護に取り組んでおり、さらにテネシー州で成功したキリンの繁殖プログラムを通じて、彼らの遺伝的多様性と種の繁栄に貢献し続けたい」と続けました。
なおブライツ動物園は現在、公式のFacebookページで、模様なしキリンの名前を決定するための一般投票を開始しています。
名前の候補はすでに4つに絞られており、すべてスワヒリ語に由来します。
1つ目は”ユニーク”を意味する「キペキー(Kipekee)」、2つ目は”並外れた”を意味する「フィリャリ(Firyali)」、3つ目は”最も美しい”という意味の「シャキリ(Shakiri)」、4つ目は”圧倒的な美しさ”を意味する「ジャメラ(Jamella)」です。
投票期間は8月22日〜9月4日までとのこと。
一方で、どうしてキリンが模様なしで生まれてきたかという疑問は残りますが、考えてみれば、動物園には天敵がおらず、食糧も安定して得られ、さらに天候が悪ければ屋内に留まることもできます。
その中で、キリンの遺伝子がもしかしたら「コレ模様いる?」と反応したのかもしれません。