ガラスイカの生態
そもそも、ガラスイカはなぜ透明な体を手に入れたのでしょうか。
ガラスイカが透明な体を手に入れたのは、隠れる場所がほとんどない深海で繁栄するための一つの方法であると考えられます。
ガラスイカは体中が色素胞と呼ばれる小さな袋で覆われており、その袋を閉じることで皮膚を透明にすることが出来ます。この透明マントのような機能によって、捕食者からも獲物からも隠れることが可能となるのです。
また、体内には大きな空洞があり、その空洞は海水よりも軽いアンモニウムという化学物質で満たされています。この物質を利用して浮力を得ることで、小さな力でも泳ぎやすい体を手に入れました。
光胞と呼ばれる特殊な光を発する器官は、獲物を誘き寄せるだけでなく、薄暗い太陽光と同じ強さで光ることで、体の中でも透明にすることができない目の部分などを隠す役割も兼ね備えています。
ガラスイカは敵に正体がばれると、色素胞を広げて姿を暗くすることも可能です。そして、さらに危険が迫った時には、一般的なイカ同様、水中に墨(イカスミ)を噴射して逃げることもあります。
世界の深海には、体長10センチほどの小さなものから巨大なものまで、実に60種以上のガラスイカの仲間が生息しています。
意外ですが、イカの中でも最大級である、体長10メートル以上の巨大イカ「ダイオウホウズキイカ」もクランチ科でありガラスイカの仲間です。
もしかすると広い海のどこかには、さらに私たちを驚かせてくれるような姿をしたイカがいるのかもしれません。