逆さまの姿が印象的なガラスイカ
今回撮影されたイカは、米国海洋大気庁(NOAA)の海洋探査チームが、アラスカ州の排他的経済水域(EEZ)内にある深海の未踏領域をマッピングすることを目的とした調査の際に発見されました。
撮影された映像では、外套膜(イカの体)を下に向け、小さな触手を目の上でトサカのような塊にして、ゆっくりと下降しながら泳いでいる様子をみることができます。
一般的なイカに例えると、逆さまに泳いでいるといったほうがイメージしやすいかもしれません。
ガラスイカ(glass squid)とも呼ばれるこのイカは、クランチ科という種類に属し、正式な名前を「Taonius borealis(タオニウス・ボレアリス)」といいます。
北太平洋の深海を生息域としており、普段は主にエビや小魚、他のイカを食べているようです。
今回の動画からではその大きさはわかりませんが、この種類のイカは最大で約66センチまで成長するといいます。
その姿がトサカを持ったオウムに似ていることから、コカトゥーイカと呼ばれることもあるようです。(Cockatoo/コカトゥーは大型のオウムのこと)
NOAAの代表者は、「この海域では一般的なイカだが、ここまでクローズアップされて撮影された映像は珍しい」 と語っています。
今回の動画で特に印象的なのは、その悪魔のような目に加え、イカの内臓が透けて見えることでしょう。体の中心に見える赤い器官は消化腺で、その両脇に2つの白い袋のようなエラがあることがわかります。
動画の途中で、イカの眼球の1つが周囲の紫色の円盤の中に引っ込むように見える瞬間がありますが、この行動は人間や他の動物の瞬きにあたるようです。
また、このイカは両目の下に白い三日月状の構造物を持っています。これは光を発する器官で、エビや小魚、他のイカなどの獲物を引き寄せるために使われているようです。