カメの甲羅が「核の歴史の証拠」を保存
核爆発が起きると、「放射性降下物(フォールアウト)」という粒子とガスが広範囲に広がって土壌や水を汚染し、放射線を放出する放射性物質が残留してしまいます。
これらの放射性物質は地球全体に広がり、自然界の植物や動物にも蓄積されていきます。
特に過去1000回以上もの核実験が行われたアメリカでは、土壌や水が大量に汚染されているとされており、3000万から8000万立方メートルの土壌と、1800億から4700億立方メートルの水が放射性物質で汚染されていると推定されています。
科学者たちは長い間、環境中の放射性物質を追跡する方法を模索してきました。特にこれまでは、動物の体内の放射性物質を正確に測定するのは難しいとされてきましたが、今回の新しい研究がその問題に突破口を開いたようです。
今回発表された研究により、カメの甲羅が「核の歴史の証拠」を保存しているという事実が明らかとなったのです。
この発見によって過去の核爆発が環境にどのような影響を与えたかを、新たな方法で調査することができるようになりました。
この発見は、動物の体内の放射性物質を測るうえで信頼性が高く、放射性物質の長期的な影響をより詳しく知る手がかりとなりそうです。