自分はモテないと感じている男性が抱える問題
コステロ氏ら研究チームによる調査は、SNSやポッドキャストを駆使して募った、151人のインセルと149人の非インセルの独身男性を対象に行なわれました。
調査で参加者らは、「独身である理由」に関するチェックリスト、および「自分がどれだけ結婚相手として魅力的であると感じるかを評価する質問」に回答しました。
さらに、「交際相手に求める最低限の条件」についてのアンケートに回答しました。
このアンケートでは、長期的な交際相手に求める15の特徴(ユーモアや知性など)について、1点から10点の間で最低点を示すよう求められました。
そして調査の結果、インセルのグループは精神的に非常に問題を抱えていること、認知に歪みがあること、被害者意識が強いこと、自閉症スペクトラム障害(ASD)の発生率が高いこと、恋愛のスキルが低いこと、デートに対して不安を感じていることが明らかになりました。
また、独身である主な理由としては、恋愛のスキルが低い、外見が良くない、社交的でない、恥ずかしがり屋という4つの点が多く挙げられました。
インセルの人々は自分の恋愛の価値を低く見積もりがちで、特に自分が女性にとって魅力的でないと感じる時に女性を嫌悪する傾向があります。
これには恋愛に対する不安が影響している可能性があり、インセルの人々が恋愛に対して自信をもつことで女性嫌悪の減少につながるかもしれません。
一般的にインセルの人々は恋愛の理想が高いと思われがちですが、調査の結果は反対でした。
モテない男性は女性に対する理想が高いわけではなく、むしろ相手してくれるならどんな子でもいいというような傾向の方が強かったのです。
さらに、インセルの人々は女性の恋愛の好みを誤解しており、知性や優しさよりも外見や財力が重要だと感じていることも明らかとなりました。(財力・外見は無視される要因ではありませんが、知性・優しさなどより絶対的に重要視される傾向ではありません)
また、世界的に見た自閉症スペクトラム障害(ASD)の有病率は0.62%なのに対し、インセルの人々の中では、18~30%と非常に高いこともわかりました。
(※ASDとは対人関係が苦手・強いこだわりといった特徴をもつ発達障害)
今回の結果は、インセルに分類されるモテない男性には恋愛に対する多くの誤解をしている可能性が示されました。
女性が結婚相手に経済的安定を求める傾向があることは紛れもない事実です。しかし、優しさや知性、ユーモアも非常に重要な要素です。
今後、コステロ氏ら研究チームは、このような誤解を解くため、また、インセルの人々のメンタルヘルスを支援するための介入策を考えることが重要だと考えています。
日本ではまだあまり話題になることのないインセルの人々が抱える問題ですが、年々大きく上昇し続ける未婚率からみるに、すでに日本でも同じような問題を抱えた人たちがいて、近い将来、同じような問題が浮き彫りになってくるかもしれません。
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