「スヌーズが健康に悪い」という科学的証拠はない
十分な睡眠をとることは健康とって重要ですが、残念ながら、多くの現代人は睡眠不足に悩まされています。
特に日本は世界でも有数の「寝不足大国」であり、世界50カ国以上の平均睡眠時間を調べた研究によると、日本人は最下位の6時間18分であるという結果が出ています。
寝不足で朝起きるのがつらいので、スヌーズを使っているという人も多いはずです。
一方で、世間ではよく「スヌーズは健康に悪い」という噂がまことしやかに囁かれています。
例えば、イギリスの神経科学者であるマット・ジェインズ(Matt Janes)氏は次のように説明しています。
朝のアラームが鳴ると安眠が破られ、そのショックが自律神経系の「闘争・逃走反応」を司る交感神経系を刺激します。
このシステムは一定期間しか働かないようになっていますが、スヌーズを使うと数分ごとにアラームが鳴り、そのたびに闘争・逃走反応が働きます。
ジェインズ氏いわく「これは脳や体への攻撃を増やすこと」であり、それに伴うストレスホルモンの増加が長期にわたって続くと「うつ病や不安症などの精神疾患に繋がりかねない」というのです。
同じようにスヌーズのマイナス面を指摘する声は多くありますが、一方でストックホルム大学の心理学者で研究主任のティナ・スンデリン(Tina Sundelin)氏は「スヌーズが健康の害悪となることを裏付ける科学的証拠は存在しない」と話します。
とはいえ、スヌーズにプラスの健康効果があるという証拠もありません。
そこでスンデリン氏ら研究チームは、人々がスヌーズをどれほど使用しているのか、スヌーズが睡眠や眠気、認知機能にどんな影響を与えているのかを調査しました。