スヌーズで早朝の認知機能が高まる?
最初の調査では、1732人の成人を集めてオンラインでのアンケート質問を行いました。
対象者はスウェーデン人(80%)、アメリカ人(8%)、フィンランド・イギリス・オーストラリア人(各3%)であり、女性66%・男性33%で平均年齢は34歳となっています。
調査の結果、日常的にスヌーズ機能を使っている人は全体の69%(1195人)に達し、スヌーズの設定時間は平均して約22分間でした。
スヌーズの使用者は、スヌーズをまったく使わない人々に比べて、約6歳若く、夜型である可能性が4倍高くなっていました。
また一晩の平均睡眠時間が短くなる傾向も見られています。
次にチームは、スヌーズを使う習慣のある31人の被験者(女性18人・男性13人・平均年齢27歳)を集め、スヌーズを使った起床と使わなかった起床で認知機能に違いが出るかを実験しました。
スヌーズを使う日は30分間のスヌーズ設定で徐々に起床し、スヌーズを使わない日は一度のアラームで目覚めなければなりません。
その後、被験者には基礎的な算数の問題と、単語のリストを記憶して、後で提示される新しい単語リストの中から記憶したワードを認識して選び出すテストを受けてもらいました。
その結果、被験者の多くは一度のアラームで起床した条件に比べて、スヌーズを使って起床した条件においてテストのスコアが高くなっていることが分かったのです。
これはスヌーズによる目覚めが起床後の認知機能を高めている、あるいは低下するのを防いでいることを示しています。
スヌーズにより目覚めが「なだらか」になる
調査の結果、その理由は睡眠〜覚醒への移行がなだらかになることにありました。
チームが被験者の脳波を調べてみると、一度のアラームで起きなければならない場合、睡眠の最も深いステージである「徐波睡眠」から目を覚ます確率が高くなっていたのです。
徐波睡眠では脳の大部分が休止状態にあり、体温・呼吸・心拍などを調節する自律神経系の活動や筋活動が低下しています。
この状態で無理に目を覚ますと、「睡眠惰性」という起床後のグロッキー状態に陥る可能性が高まるのです。
ところがスヌーズを使った場合、被験者は複数回のアラームで徐々に覚醒ステージへと移行するため、徐波睡眠から目覚める確率が低くなっていました。
そのおかげで、起床後の認知機能も高まっていたと見られます。
またこれと別に、スヌーズが起床後の眠気や気分、ストレスホルモン値などに悪影響を及ぼすという証拠は認められませんでした。
つまり、スヌーズを使っても朝の眠気を強めたり、疲労感が高まることはないと考えられます。
一方でスンデリン氏は、これらの効果は普段からスヌーズを使う習慣のある人に見られたことであり、一度のアラームですんなり起きられる人が新たにスヌーズを使うメリットはないだろうと指摘しました。
ただし夜型人間の方、睡眠時間が短い方、朝の目覚めがつらい方で、まだスヌーズを使ったことがないならば、一度試してみるといいかもしれません。