情報力学では情報は物理的な存在として扱われる
情報力学は情報の定量化や保存、伝達にかんする数学的な研究をもとにしており、第2法則では「宇宙で起こる現象は時間の経過とともに、情報エントロピーが維持されるか減少する」とされています。
一見すると難しい概念に思えますが、そんなことはありません。
まずエントロピーですが、エントロピーとは状態の無秩序さを数値化したものであり、大きな値であるほど、状態が混沌としていることを示します。
また情報力学における情報エントロピーは取り得る状態数、すなわち情報量に大きくかかわります。
つまり情報力学の第2法則をザックリと言い換えると「宇宙では時間経過とともに情報が圧縮されていく傾向にある」となります。
(※研究では従来のエントロピーを物理エントロピーとし、情報エントロピーとは明確に区別されています。また情報力学「infodynamics」は情報を扱う点で情報熱力学「infomation themodynamics」と似ていますが、厳密には異なる理論です)
もしこの法則が普遍的なものであるならば、シミュレーション仮説を支持する有力な状況証拠となるでしょう。
というのも、私たちの世界をシミュレートする演算機が存在する場合、何らかの方法を使って情報の圧縮を行い、演算能力の節約を行っている可能性があるからです。
そこで研究者たちは生物システム、原子物理学、数学的対象性、宇宙論など複数の異なるレベルにおいて情報力学第2法則が示すような、情報圧縮が行われているかを検討しました。
情報力学第2法則に従って、世界の情報は時間とともに圧縮される傾向にあったのでしょうか?