世界人口の半数がデング熱の危機に晒されている
デング熱は蚊(ネッタイシマカ)を媒介にしたウイルスによって引き起こされ、毎年3億9000万人が感染し、そのうちの4分の1にあたる1億人が発症しています。
症状はウイルス株によってさまざまであり、軽度のインフルエンザに似た症状しか起こさない場合もありますが、発症者の5%は重症デング熱と呼ばれる危険な状態に陥ってしまします。
重症デング熱の患者に対してに病院でのケアが行われた場合、死亡率は2~5%であるとされていますが、治療せず放置した場合の死亡率は15%に達することが知られています。
(※適切な治療に加えて「早期発見」が行われた場合、死亡率は1%未満に低下させることが可能です)
また現在、気候変動の影響によってネッタイシマカの生息地の急激な拡大が起きており、世界人口の半分にあたる40億人が暮らす地域に重なりつつあります。
(※過去50年間でデング熱の発生率は30倍に増加しており、地域によってはここ数年で患者数が何倍も増加したことが報告されています)
そのためデング熱は2019年にWHO(世界保健機関)によって、最も健康に脅威となるトップ10の1つに指定されました。
しかし残念なことに、現時点においてデング熱 / 重症デング熱に対して特異的な治療薬(専用の薬)は存在せず、開発されたワクチンの効果も限定的で、逆に害となってしまう場合もありました。