謎すぎるヒトデの体
人を含む大半の動物の体は、体軸を中心線として鏡写しのようなシンメトリーになっており、これを「左右相称(bilateral)」と呼びます。
一方で、ヒトデの体はどうなっているでしょうか。
ヒトデはウニ・ナマコ・ウミユリなどと共に「棘皮(きょくひ)動物」というグループに属します。
ヒトデの幼生は、オスとメスの体外受精でできた受精卵から生まれ、1〜2カ月を海中で浮遊しながら過ごします。
実はこのときまではヒトデの体も左右相称になっていますが、海底に定着して成長する中で、ヒトデらしい星形に変わっていくのです。
このように左右相称ではなく、5つの同じ部位が中心から放射状に並んだ形を「五放射相称(pentaradial)」と呼びます。
ヒトデが「左右相称→五放射相称」に変わる仕組みはいまだ未解明であり、何世紀にもわたって生物学上の謎となっています。
それに付随して、5つの器官は「腕」という認識で合っているのか、また「頭」はどこに位置するのかもよく分かっていません。
一般の私たちの目から見ると、5つの突起があるのだから、1つが頭で、残りの4つは腕2本と足2本と理解すればいいのではないかという気もしてしまいますが、人での体は専門家も首をひねる不思議なものなのです。
そこで研究チームは今回、最新の科学技術を使って、ヒトデの遺伝子発現における3Dマップを作成し、腕や頭などの発生にかかわる遺伝子がヒトデの体のどこに位置するのかを調べました。