日本の労働者は睡眠不足に悩まされている
日本国内の生産活動を中心になって支えている15~64歳の人口「生産年齢人口」は、超少子高齢化に伴い減少しています。
そのため、いかに生産性を向上させていくかが、日本の大きな課題となっています。
そして労働パフォーマンスに関係すると考えられている分野の1つは、「生活習慣」です。
では、現在と将来の日本を支えている企業従業員たちは、どのような生活習慣のもと、日々働いているのでしょうか。
国際機関「経済協力開発機構(OECD)」による2021年の調査では、33カ国中、日本の平均睡眠時間は7時間22分と最短でした。
また厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」によると、1日の平均睡眠時間が6時間未満の日本人(20歳以上)の割合は、男性37.5%、女性40.6%でした。
年齢階級別で見ると、働き盛りの30~50歳の男性、40~50歳の女性の4割以上が、1日6時間未満の睡眠です。
日本の労働者は明らかに睡眠不足なのです。
では、こうした睡眠不足や他の生活習慣は、実際に労働パフォーマンスに影響を与えているのでしょうか?
武田氏ら研究チームによると、これまでの研究ではその関係性は十分に明らかにされてきませんでした。
そこでチームは、2016年の日本の1企業の従業員(1万2476人、21~69歳)の健康検査、診療報酬明細書、労働パフォーマンスのデータを用いて、生活習慣(喫煙、運動、食事、飲酒、睡眠に関する 11 項目)と労働パフォーマンスの関係を分析することにしました。
労働パフォーマンスに関しては、「世界保健機関 健康と労働パフォーマンスに関する質問紙(短縮版)日本語版」(WHO-HPQ)の調査データから、得点を算出しています。