動画配信の収益化が歪みを生んでいる
現在、動画配信サイトは既存のメディア(テレビなど)にとって代わり、人々の娯楽や社会的交流に不可欠なものとなっています。
実際、お気に入りのテレビ番組や芸能人よりも、お気に入りの動画チャンネルや好きな配信者の名前のほうを多くあげられる人も多いでしょう。
動画サイトの人気の秘訣はさまざまですが、1つには高い自由度があげられます。
テレビのように外部からの干渉を受けやすいメディアとは違い、個人が行う動画配信では自分自身の信念に従って自由に発言したり自己表現することが可能です。
ある意味で動画配信は配信者と視聴者の個人的な会話の場としての性質を持っており、究極的には「好きなら見ろ、嫌なら見るな」で片づけられてしまいます。
しかし近年、自由な表現の場だったはずの動画配信に経済的なインセンティブが導入されたことで、配信者間で人気と収益を求める競争が起こり、いくつかの問題が顕在化しはじめました。
その1つが、配信のポルノ化です。
過去のポルノでは主にプロの人々が活躍してきましたが、インターネットの普及により、誰もが自分の体をポルノとして提示する「自己性的対象化」が可能な環境がうまれました。
この状況に動画配信の収益化が重なった結果、自己のポルノ化「自己性的対象化」が加速していきました。
しかし配信者たちの自己性的対象化の研究はあまり進んでおらず、実態把握ができていません。
そこで今回アルカラ大学の研究者たちは、大手動画配信サイト「Twitch」を使って、自己性的対象化の実態把握を行うことにしました。
自由な表現の場だった動画配信サイトは、どのように歪められていたのでしょうか?