ポルノ化レベルが男女の配信者で違う理由
なぜ男女の配信者でポルノ化(自己性的対象化)が大きく違うのか?
1つは単純に需要の問題があげられます。
Twitchの視聴者は全体的に男性に偏っており、サンプルが収集されたカテゴリではさらに極端な配信者の男女比がみられます。
また伝統的に女性の性的魅力は男性よりも先鋭化して表現されており、商業的な需要も高くなっています。
実際、研究では男女の配信者ではスタイルが大きく異なることが指摘されています。
男性配信者の場合、ゲームのスキルや雑談スキルに焦点を当てており、視聴者を引き付けるのに自分の体をみせたり誘惑するケースは非常にまれでした。
一方、過去の研究では、女性配信者では視聴者の獲得において自分自身をアピールすることに頼っており、これが自己性的対象化に繋がっていることが示されています。
また別の動機として配信することで得られる非経済的な利益もあげられます。
これまでの研究により、女性が自分自身を性的対象化する動機として、自己性的化が女性に自信や喜び、自尊心を与えることが示されています。
しかし研究では、女性配信者の自己性的対象化には、強烈な副作用が指摘されています。
複数の研究により、自己性的対象化を行った人物(ここでは配信者)に対して視聴者たちは、性的対象とみなす度合いが高くなる一方で、非人間的な存在として見方を変化させることが示されています。
ごく簡易な言葉で言い換えれば、ポルノ化が進行した配信では、配信者個人の「人格や特性」よりも「エッチな配信を行う人」という認識が強くなってしまうのです。
このような場合、配信に対する評価も、配信者個人の人間としての魅力よりも、どれだけ性的な内容を発信しているかに焦点がシフトしてしまいます。
どれだけ雑談スキルを磨いても、結局は性的な内容でしかみられないとしたら、配信者のモチベーションにとっても深刻な影響となるでしょう。
研究者たちはポルノ化した配信が、デジタル世界での違法な人身売買(性的な動画を配信させられるなど)を助長する要因になりうると警鐘をならしています。
動画サイトにとっても、配信のポルノ化が蔓延した状態はある種のアダルトサイト化であり、娯楽の多様性を失わせる要因となります。
サイト収益の観点からもアダルトサイト化が進んだサイトよりも、YOUTUBEのような多様な娯楽や情報に力を入れた方が最終的な集客力が高くなります。
ただ何をポルノと認識するかは個人レベルの問題であり、線引きは難しい問題です。
猫耳をつけていることや特定の衣服を着ているいることが本当にポルノ化なのかも判断が分かれるところです。
曖昧な根拠で表現の規制だけを強化しても、それは配信の自由度を奪うだけで良い結果には繋がらないでしょう。
研究者たちは今後、調査対象となる分野を広げ、世界的な配信のポルノ化の実態についてより詳細に調べていくとのこと。
個別では判断できない場合でも、今回の研究のように定量的なテストをもとに点数付けすれば、ある程度公平なルールとなるかもしれません。