自動運転AIのトレーニングに「トロッコ問題」は不要!?
自動運転AIのトレーニングに「トロッコ問題」は不要!? / Credit:Canva
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自動運転AIの道徳的判断のトレーニングに「トロッコ問題」は役に立つのか? (3/3)

2023.12.19 Tuesday

前ページトロッコ問題は現実的ではなく、その結果はドライバーの道徳的な判断を反映していない

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ドライバーの道徳的な判断が反映される「交通問題」を開発

トロッコ問題よりも現実的なケースに着目
トロッコ問題よりも現実的なケースに着目 / Credit:Canva

研究チームが注目したより現実的な判断とは、「多少なら制限速度を超えても良いのか?」「黄信号で止まらなくても良いのか?」「救急車が近づいているので邪魔しないよう車を止めるべきか?」などです。

ドライバーは毎日こうした判断を下しており、遅刻しそうな時には道徳観が大いに試されます。

そして、このような日常的な判断の積み重ねが、最終的には、ドライバーや歩行者の命にかかわってくるのです。

研究チームによると、AIのトレーニングに大切なのは、トロッコ問題よりも、これらの要素を扱った道徳問題だというのです。

そして彼らは実際に、トレーニングに役立つ現実的な「交通問題」を開発しました。

「黄色信号でブレーキを踏まない状況」を問題にする方が現実的であり、よりドライバーの道徳的な判断を表す
「黄色信号でブレーキを踏まない状況」を問題にする方が現実的であり、よりドライバーの道徳的な判断を表す / Credit:Canva

この問題は複数の事例で構成されています。

例えば1つ目の事例は「親には思いやりがあり、黄色信号でブレーキを踏み、子供を時間通りに学校に送り届ける」というもの。

また別の事例は、「親は虐待的であり、赤信号を無視して、交通事故を起こす」というものです。

他にもいくつかの事例が存在し、それぞれ親の性質や、信号での判断、結果が変わっています。

そして回答者には、1つの事例を見た後に、ドライバーの行動がどの程度道徳的であったかを10段階で評価してもらうのです。

より現実的なドライバーの判断を学習させることが、「自動運転車」の判断能力の向上に繋がるかも
より現実的なドライバーの判断を学習させることが、「自動運転車」の判断能力の向上に繋がるかも / Credit:Canva

研究チームは、この交通問題で得られたデータこそが、AI(自動運転システム)に、より道徳的な判断を与えると考えています。

また彼らは次のステップとして、「大規模なデータ収集に取り組み、何千人もの人々に実験に参加してもらう」ことを目標にしています。

もちろん、人間レベルの判断力を備えた自動運転車が開発されるのは、まだまだ先のことでしょう。

それでも、その「理想的な判断」に近づくのに、有名なトロッコ問題は必要ないのかもしれません。

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