視覚情報によって聴覚が影響を受ける「マガーク効果」とは?
専門家によると、これは聴覚が視覚情報によって影響を受けたことで生じる錯覚の一種だといいます。
心理学用語ではこれを「マガーク効果(McGurk effect)」と呼びます。
マガーク効果は、私たちの聴覚が知らぬ間に視覚情報の影響を強く受けていることを示してくれます。
その代表的な錯覚として紹介されるのが、こちらの例です。
さて、何と言っているように聞こえるでしょうか?
「た」のように聞こえますが、「ぱ」とも聞こえますね。
この画像はある音声に対して関係ない発音をしている口元の映像を重ねると、まったく別の音に聞こえるという錯覚を示しています。
実際には「ぱ」と発音しているのですが、そこに「か」の発音をしているときの口元を重ね合わせると、「た」に聞こえやすくなるといいます。
最初から「ぱ」と聞こえた人でも、目を瞑って聞くとより鮮明に「ぱ」と聞こえやすくなることが分かるでしょう。
このように、私たちの音の認識は無意識のうちに視覚情報の影響を受けています。
先の送電塔のGIFの場合だと、着地の振動で揺れているエフェクトを見ると、過去の経験をもとに「この衝撃ならこんな音がするだろう」と脳が反応して、無音のはずなのに「ドスン、ドスン」という音が聞こえてしまうのです。
また興味深いことに、ドスンという音だけでなく、着地時に実際に振動を感じる人もいます。
これも脳が視覚情報をもとに次に起こる出来事を予測しているためです。
— @debruine@tech🐘lgbt (@LisaDeBruine) December 4, 2017
これと別に、視覚や聴覚のような異なる感覚が交錯する現象は「共感覚(シナスタジア)」としても説明できます。
共感覚とは、ある1つの刺激に対して、通常の感覚だけでなく別の感覚も同時に生じる特殊な知覚現象です。
例えば、数字を見ると色を感じたり、色を見ると音が聞こえたり、音が聞こえると味がするといったものを指しますが、ただ共感覚を持つ人は全体の1〜4%ほどしかいないと言われています。
しかし完全な共感覚を持っていなくても、今回のGIFのように、異なる感覚同士が交錯し合う体験は予想以上に多くの人に見られるようです。