古代ローマのワイン作りに欠かせない「ドリウム」とは
ワインの味を解明するにあたって研究チームが調査対象としたのは「ドリウム(Dolium)」と呼ばれる粘土性の壺です。
ドリウムは古代ローマ時代にワインの醸造や貯蔵に使用された大きな容器でした。
一般的には卵型の丸い容器に広い口、面積の狭い底部という作りになっています。
![粘土性の壺「ドリウム」](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2024/01/1920px-Ostia_Antica_Dolia-900x529.jpeg)
その一方で、ドリウムでの醸造がワインの味や香りにどんな影響を与えていたかに関する研究はありません。
そこでチームは、古代ローマ時代のドリウムを使ってワインを醸造するとどんな風味が生まれるかをシミュレーションしました。
その際に参考にしたのは、現在のジョージアで伝統的に使われている「クヴェヴリ(qvevri)」という土器です。
ジョージアはワイン発祥の地と考えられており、約8000年のワインの歴史があります。
ワイン醸造に伝統的に使われてきたクヴェヴリは、古代ローマのドリウムとほぼ同じ見た目をしており、歴史的な記録を参照すると、ワインの製造プロセスまでかなり酷似していることが分かっています。
![ジョージアの伝統的なワイン製法に用いられる「クヴェヴリ」](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2024/01/Georgian_Kvevri-900x600.jpeg)
ちなみにクヴェヴリを用いたワイン製法は2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されています。
これらを踏まえてチームはクヴェヴリを参考にしながら、ドリウムでワインを醸造するとどんな風味が生まれるかを調査しました。