太陽光で敵船を燃やす!アルキメデスが開発した古代兵器「死の光線」とは?
太陽光で敵船を燃やす!アルキメデスが開発した古代兵器「死の光線」とは? / Credit: en.wikipedia
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太陽光で敵船を燃やす!アルキメデスの古代兵器「死の光線」は実現可能だった?!

2024.02.17 Saturday

古代ギリシアの天才・アルキメデス

彼は紀元前287年頃にシチリア島のシラクサで生まれ、紀元前212年に亡くなるまでに多くの数学的発見や発明を残しました。

アルキメデスといえば、入浴中に浮力の原理を発見して「エウレカ!(わかった!)」と叫び、裸のまま外に飛び出したという逸話で有名です。

そんな彼はローマ軍との間に勃発した戦争において、シラクサの街を守るための兵器開発を頼まれていました。

その中で生み出したとされるのが「死の光線(death ray)」です。

これは巨大な鏡で太陽光を集光し、敵船に照射することで炎上させるというもの。

歴史家は長い間、「アルキメデスの死の光線は実在したのか、また実在したとして本当に火炎を起こせたのか」と議論を戦わせてきました。

しかしここ数十年の研究で、死の光線は実現可能だったことが明らかになりつつあるのです。

12-Year-Old Builds Replica Of Archimedes’ Death Ray – And It Works https://www.iflscience.com/12-year-old-builds-replica-of-archimedes-death-ray-and-it-works-72875 Archimedes Death Ray: Idea Feasibility Testing https://web.mit.edu/2.009_gallery/www/2005_other/archimedes/10_ArchimedesResult.html THE POWER OF THE ARCHIMEDES DEATH RAY https://csfjournal.com/volume-6-issue-4-1/2024/1/7/the-power-of-the-archimedes-death-ray

アルキメデスの知恵が買われた「シラクサ包囲戦」とは?

アルキメデス(画ドメニコ・フェッティ、1620年)
アルキメデス(画ドメニコ・フェッティ、1620年) / Credit: ja.wikipedia

アルキメデスの生きた時代には、古代ギリシアとローマ軍との間で絶え間ない戦争が繰り広げられていました。

特に紀元前3〜2世紀半ばに3度にわたって起きた「ポエニ戦争」は、その最も大きな争いの一つでした。

これは一言でいうと、ローマ軍とカルタゴ(北アフリカに栄えたフェニキア人の国家)が西地中海の覇権をめぐって争った戦いです。

(ポエニという名称は、ローマ人によるカルタゴ人の呼び名)

第一次〜第三次ポエニ戦争の領土の変遷(緑:ローマ、オレンジ:カルタゴ)、イタリア南部にあるのがシチリア島
第一次〜第三次ポエニ戦争の領土の変遷(緑:ローマ、オレンジ:カルタゴ)、イタリア南部にあるのがシチリア島 / Credit: ja.wikipedia

この争いにアルキメデスのいたシラクサも巻き込まれるのですが、第一次ポエニ戦争においてシラクサはローマ側と同盟を結んでいました。

ところが、シラクサは第二次ポエニ戦争においてそれを解消し、逆にカルタゴと同盟を結んだことでローマ軍に包囲されることになります。

こうして勃発したのが「シラクサ包囲戦」(BC214〜BC212)です。

ローマ軍と戦うにあたり、シラクサ軍はアルキメデスに街を守るための兵器開発を依頼しました。

有名なのは「アルキメデスの鉤爪(Claw of Archimedes)」です。

アルキメデスの鉤爪で沈没させられるローマ艦(1600年頃の壁画の一部)
アルキメデスの鉤爪で沈没させられるローマ艦(1600年頃の壁画の一部) / Credit: ja.wikipedia

これは城塞の縁に設置したクレーン状の腕部の先端に金属製の鉤爪を取り付け、それを近づいてきた敵に引っ掛けて持ち上げることで転覆させるものでした。

イメージとしては下図のように、クレーンに取り付けた紐を人と家畜で後方に引っ張って鉤爪のアームを持ち上げたと考えられます。

「アルキメデスの鉤爪」のイメージ
「アルキメデスの鉤爪」のイメージ / Credit: SnapJelly – Claw of Archimedes – Weird weapons episode 4(youtube, 2019)

そしてもう一つ、歴史家の間で大いに注目されてきたのが「死の光線(death ray)」です。

これについては2世紀の著述家ルキアノスによって、アルキメデスが鏡を用いて敵船に次々と火を起こし撃退したという記述が残されています。

しかしこれ以降の歴史家や科学者たちは、「死の光線」が本当に実現可能なのか大いに疑問を抱きました。

特に14〜16世紀のルネサンス期以降に熱い議論が始まり、フランスの有名な哲学者であるルネ・デカルトなどは「科学的に不可能だ」と反対の意を唱えています。

ところが、ここ数十年の研究で「死の光線」は実現可能だったことが示唆されつつあるのです。

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