最高の表情は「笑顔」なのか
悲しみや怒り、驚き、嫌悪、恥じらい。
相手に最も良い印象を与えるのは、どの表情でしょうか。
おそらく多くの人が「笑顔」と答えるのではないかと思います。
このように私たちは、笑顔から若さや健康、魅力などのプラスの価値観を連想し、笑顔こそが最も良い表情だと考える傾向があります。
たしかに笑顔にはさまざまなメリットがあります。
たとえば、笑うことによる健康効果を調べた調査では、よく笑う人ほど長生きする傾向があり、笑うことが健康に対してポジティブな効果をもたらすことを報告しています。
しかし人間関係において笑顔は本当に良い印象を与えない可能性も考えられます。
実際にこの疑問を調べた研究があります。
それは英ポーツマス大のエドワード・モリソン氏(Edward Morrison)らの研究で、表情で個人の魅力度が変化するのかを調べています。
実験に参加したのは大学生128名でした。
参加者は、男性14名と女性16名の7種類の表情のなかからランダムに1枚だけを観察し、魅力度を評価しています。
表情の種類は、嫌悪、怒り、恐れ、驚き、悲しみ、無表情そして幸福(笑顔)がありました。
実験の結果、怒りや恐れなどネガティブな表情は魅力が低く、幸福(笑顔)のポジティブな表情は魅力度が高い傾向があるように見えますが、どの表情であっても魅力度は一定していることが分かりました。
つまり笑顔であろうが怒っていようが、顔が良い人は魅力度が高く、顔が悪い人は魅力度が低く評価されたのです。
研究チームは「生まれ持った顔を変えるのは難しい。そのゆえ私たちは、どんな表情を相手がしていようが、その人の魅力度を安定して評価できる」と述べています。
しかしどうして私たちは笑顔が魅力や若さなどのプラスの価値観と結びついているのでしょうか。