陰謀論はどんな人が信じやすいのか?
陰謀論を信じやすい人々は、どのような特性があるのか?
以下の図ではアメリカで行われた別の研究をもとに、陰謀論を信じやすい人々が持つ性質をまとめて示しています。
各グラフの上に書かれているのが人間の性質であり、中央のラインよりもバーが右よりであればあるほど、その性質を持つ人が陰謀論を信じやすいことを意味します。
最も顕著なのは、一番左上にある「アメリカ陰謀思考尺度(ACTS)」です。
アメリカ陰謀思考尺度(ACTS)は、陰謀論の信じやすさを測定するために開発されたテストのことです。
このテストでは次の4項目について、「全くそう思わない~完全に同意する」の5段階の回答を行うことで測定されます。
①私たちの生活全般は、秘密の場所で企てられた陰謀によって支配されています。
②私たちは民主主義の国に住んでいますが、常に少数の人々が物事を運営します。
③本当に国を「運営」しているのは誰なのか、有権者は知りません。
④戦争、現在の不況、選挙の結果などの大きな出来事は、秘密裏に活動する少数の人々によってコントロールされています。
多くの人々にとって4項目全てに「全くそう思わない」と答えるのは難しいでしょう。
また4項目の文面に特定の「名詞」が存在しないことに気付いたひともいるかもしれません。
国名や組織名が付加されていないことには利点があり、特定の陰謀論についてではなく、陰謀論全体への信念や親和性を測定可能となっています。
他にも「積極的にデマを拡散」したり「何事も人民に訴えて解決を目指すポピュリズム」の傾向がある人、「マニ教などに代表される善悪二元論で物を考えがちな人」や「政治的問題の解決に暴力を支持する人」などが陰謀論を信じやすいことが示されています。
サイコパスとナルシストとマキャベリストなど「ダークトライアド」に含まれるパーソナリティーを持つ人々も、陰謀論に囚われやすくなっています。
ダークトライアドのパーソナリティーは他にも、普通の人に比べて反社会的行動や犯罪行動を起こしやすいことが知られています。
また興味深いことに、どの大統領を支持するかでも違いがあり、共和党のトランプ氏を支持する人は民主党のバイデン氏を支持する人よりも、陰謀論を信じやすいことが示されました。
ただ大統領で区別する方法は他の要素に比べてバーの横方向への分布が広いことも示されました。
横方向への分布が広いということは、大統領での区別は他の要素に比べて不確実性が高い方法であることを示しています。
(※つまり大統領の支持先で陰謀論の信じやすさを測定すると失敗しやすいという意味です)
一方でマニ教的な善悪二元論で世界を考える人々はバーの横分布が狭く、陰謀論の信じやすさと、ほぼ完全にリンクしていることを示しています。