陰謀論の支持率は時間がたっても変化しない
どれが勢いがある陰謀論で、どれが衰退している陰謀論か?
答えを得るため研究者たちは時間を置いて陰謀論の支持者数を調査しました。
すると全ての陰謀論において、支持者数がほとんど変化していないことが判明しました。
これまで一部では、SNSなどの普及のせいで陰謀論はどんどん拡散し、やがては世界を虚偽で埋め尽くしてしまう危険が主張されていました。
しかし実際は危惧とは異なり、メジャーどころの陰謀論は時間が経過しても信者数が一定に保たれているようです。
中でも特に研究者たちが着目したのが、新型コロナウイルス関連の陰謀論でした。
研究データが収集されていた時期はオーストラリアとニュージーランドではロックダウンが行われていた時期と重なっており、政府や医療に対する不満が高まっていました。
これまでの見解では、陰謀論は現実への不信感・不満・危機感があるほど支持を伸ばしやすいと考えられていました。
また時間が経過するごとに人々が陰謀論に接する機会が増えていくことを考えると、この結果は意外と言えるでしょう。
この結果について研究者たちは2つの結論を導き出しました。
1つは、陰謀論の信者は時が過ぎても安定して信じ続けているという事実です。
これまでの研究で、陰謀論の信者は陰謀を否定する証拠を提示されても容易に納得しないことが示されています。
ただ信念が完全に安定しているかといえば、違うようです。
もしそうなら陰謀論の信者は増える一方だからです。
そこで研究者たちは2つ目の要素として、ある程度メジャーになった陰謀論では、新たに信じ始める「入門者」の数と、信じるのを辞めた「背教者」の数が相殺している可能性について述べています。
どうやら陰謀論は初期拡散でベースとなる支持基盤を獲得した以降は、少数の入門者と少数の背教者の出入りが相殺し合う安定期に至るようです。
しかしそうなると気になるのは、支持基盤となる人々です。
いったいどんな性質を持つ人が陰謀論を信じやすいのでしょうか?