なぜ赤の他人が近くにいると落ち着かないの?
私たちは誰かとコミュニケーションを取るとき、自分が快適だと感じる空間を無意識に保つことが知られています。
これが「パーソナルスペース」と呼ばれる空間です。
見ず知らずの他人がパーソナルスペースに侵入してくると、居心地の悪さや不快な感情が沸き起こり、その人から距離を取ろうとする反応が見られます。
電車やバス、映画館の座席で知らない人が隣に座ると落ち着かないのはこのためです。
そして近年の研究では、他者が近くにいると、主観的な気持ちだけでなく、客観的な指標である心拍数や皮膚電気活動といった生理的反応も変化することが明らかになりつつあります。
例えば、赤の他人がパーソナルスペースに入ってくると、心拍数の上昇や皮膚電気活動の活性化など、交感神経が刺激されることが分かっているのです。
(※ 自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つに分かれており、交感神経は活発に動く時や緊張している時に活性化し、副交感神経は休息時やリラックスしている時に活性化する)
その一方で、親しい友人が近くにいる場合に、同じような生理的反応の変化が起こるかどうかは調べられていませんでした。
そこで研究チームは、親しい間柄にある友人のペア16組を対象に、さまざまな位置関係で立っているときの心電図データを記録しました。