牙は口先の左右から生え出ていた!
チームは2014年に発見された化石からこの新事実にたどり着きました。
化石にはアゴと牙がつながった状態で残っており、そこから一対の牙が口先の外側の左右に横向きになって生え出ていたことが確認できたのです。
またこれまでに回収されたO. ラストロススの様々な化石断片をCTスキャンで分析し、牙がどこにどのような形で生え出ていたかを検証した結果、どの個体でも口先の左右に生えていたことが確かめられました。
加えて、オスとメスが同じように牙を持っていたことも判明しています。
この事実からチームは、O. ラストロススの英名を「セイバートゥース・サーモン」ではなく、トゲのような歯が生えていることを意味する「スパイクトゥース・サーモン(spike-toothed salmon)」に改名するべきだと述べました。
口先の牙が何に使われていたのかは定かでありませんが、チームはライバル同士の争いや捕食者の撃退に使われていただろうと考えています。
また他に、巣穴を掘るためにも使われていた可能性もあると指摘しました。
研究主任のケリン・クライソン(Kerin Claeson)氏は「ライバルや捕食者と争うのに役立ったこの大きな牙は、この巨人たちがおそらく穏やかな生き物ではなかったことを指し示している」と話しています。
一方で、この牙が獲物の捕食に使われた可能性はありません。
というのも、O. ラストロススは現代のキングサーモンのように甲殻類やイカ、小魚を食べるのではなく、ヒゲクジラ類のように濾過摂食によってプランクトンを食べていたことがわかっているからです。
なのでイカやカニを狙う獰猛な捕食者ではありませんでしたが、ライバルや天敵とは勇敢に戦ったことが伺えます。
余談ですが、鮭の赤い身はエビやカニに含まれるアスタキサンチンという色素によるものであることがわかっています。
そのため、O. ラストロススがこれらの甲殻類を食べなかったのであれば、彼らの身はいわゆるサーモンピンクではなかったのかもしれません。
チームは現在、牙の化石の摩耗パターンを分析して、それらが具体的にどんな使われ方をしたかを調べているところです。
白身に鮭の味付け